令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問36 解説 プロジェクトの定義
プロジェクトに該当する事例として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 会社合併に伴う新組織への移行 b 社内システムの問合せや不具合を受け付けるサービスデスクの運用 c 新規の経理システム導入に向けたプログラム開発 d 毎年度末に実施する会計処理
- a, c ✓ 正答
- b, c
- b, d
- c
解説
プロジェクトか業務(定常業務)かを見分けるポイント
プロジェクトとは「独自の目的を達成するために、期限を定めて実施される一時的な活動」を指します。一方、毎日・毎月・毎年のように繰り返される活動は「定常業務」と呼びます。
判断に迷ったときは「それは繰り返されるものか、それとも今回限りの特別なゴールがあるものか」という視点を持つことが重要です。
プロジェクトと定常業務の考え方
プロジェクト(Project)と定常業務(Operation)は、以下の3つの観点で比較すると明確に区別できます。
- 目的とゴール:プロジェクトは「一度限りの目標(特定のシステムを作る、会社を統合するなど)」を達成して終了します。対して定常業務は「継続的に価値を提供すること」が目的です。
- 期間:プロジェクトには明確な「開始日」と「終了日」があります。定常業務は事業が続く限り終わりがなく、継続されます。
- 不確実性:プロジェクトは新しいことに挑戦することが多いため、リスクや不確実性が高いのが特徴です。定常業務は手順が確立されており、安定した処理が求められます。
各選択肢の分析
今回の問題文を上記の観点で分類してみましょう。
- a 会社合併に伴う新組織への移行:会社合併は一度きりのイベントであり、新組織への移行という具体的なゴールがあるためプロジェクトです。
- b 社内システムの問合せや不具合を受け付けるサービスデスクの運用:システムがある限り毎日問い合わせが発生します。これは継続的な活動であるため、定常業務です。
- c 新規の経理システム導入に向けたプログラム開発:導入というゴールに向けて、期間を決めて開発を行うためプロジェクトです。
- d 毎年度末に実施する会計処理:「毎年度末に実施」とある通り、繰り返し行われる定型的な業務であるため、定常業務です。
このプロセスから、プロジェクトに該当するのは a と c であると判断できます。
ビジネス現場におけるプロジェクトの概念
この知識は、実際の仕事の進め方を整理する際に役立ちます。企業活動において、すべてをプロジェクトとして管理しようとすると、終わりのない業務に対してリソースを割り当て続けてしまい、管理が煩雑になります。
逆に、本来はプロジェクトとして扱うべき「新しい課題や変革」を、定常業務の片手間にやらせようとすると、改善が進まないという問題が発生します。ITパスポートでこの区分を学ぶのは、業務の性質を見極め、適切な管理手法(プロジェクトマネジメント手法と、日々の運用管理手法)を選択できるようにするためです。