令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問51 解説 QC七つ道具
システム開発プロジェクトにおいて,テスト中に発見された不具合の再発防止のた めに不具合分析を行うことにした。テスト結果及び不具合の内容を表に記入し,不具 合ごとに根本原因を突き止めた後に,根本原因ごとに集計を行い発生頻度の多い順に 並べ,主要な根本原因の特定を行った。ここで利用した図表のうち,根本原因を集計 し,発生頻度順に並べて棒グラフで示し,累積値を折れ線グラフで重ねて示したもの はどれか。
- ア 散布図
- イ チェックシート
- ウ 特性要因図
- エ パレート図 ✓ 正答
解説
選択の決め手
問題文にある「発生頻度の多い順に並べた棒グラフ」と「累積折れ線グラフを重ねたもの」というキーワードを見た瞬間に、パレート図を選択してください。これは品質管理で用いられる「QC七つ道具」の中でも、最も頻繁に問われる典型的なグラフです。
パレート図の目的と仕組み
パレート図は、全体の現象を「どの要素が大きな割合を占めているか」という観点で分析するための手法です。
- 棒グラフ:原因や項目ごとの発生件数を多い順に左から並べます。
- 折れ線グラフ:各項目の累積比率を右肩上がりに描きます。
この図を使う最大の目的は、全体の大部分(例えば8割)の問題が、少数の原因(例えば2割)によって引き起こされているという「80:20の法則(パレートの法則)」を可視化することです。システム開発において、あれもこれも全てを改善しようとするとリソースが不足します。この図を使うことで、「どこに手をつければ効率的に品質を向上できるか」という優先順位を明確にできます。
その他の選択肢が不適切である理由
問題文に登場する他の手法は、目的が明確に異なります。
- 散布図:二つの項目間の相関関係(例えば「気温とアイスの売上」など)を見るための図です。縦軸と横軸にそれぞれ別のデータをとって点を打ちます。
- チェックシート:漏れを防ぐために確認項目をリスト化したり、発生した事象を正の字などで記録したりするための道具です。データを集めるための手段であり、分析用のグラフではありません。
- 特性要因図:一つの結果に対して、どのような要因が影響しているかを魚の骨のような図に分解する手法です。根本原因を特定するための「洗い出し」には適していますが、発生頻度を並べてグラフ化するものではありません。
実務における活用イメージ
この問題が伝えようとしているのは、「データに基づいた意思決定」の重要性です。
システム開発の現場では、テスト中に無数の不具合が見つかります。開発者は限られた予算と時間の中で作業しなければならないため、すべての不具合を一度に解決することはできません。
パレート図を作成すれば、「全体の不具合のうち、この3つの原因を潰すだけで不具合全体の80%が解消される」といった根拠を持って、プロジェクトの優先順位を決定できます。ITパスポートでこれらの道具を学ぶ意義は、単なる知識の暗記ではなく、開発現場で発生する「あふれかえる情報」を、効率的に処理し、解決へと導くための思考のツールを身につけることにあります。