令和6年度 ITパスポート試験 公開問題 問67 解説 システムの稼働率計算
図に示す2台のWebサーバと1台のデータベースサーバから成るWebシステムがある。 Webサーバの稼働率はともに0.8とし,データベースサーバの稼働率は0.9とすると,このシステムの小数第3位を四捨五入した稼働率は幾らか。ここで,2台のWebサーバのうち少なくとも1台が稼働していて,かつ,データベースサーバが稼働していれば,システムとしては稼働しているとみなす。また,それぞれのサーバはランダムに故障が起こるものとする。
- 0.04
- 0.58
- 0.86 ✓ 正答
- 0.96
解説
この問題は、直列と並列の組み合わせで構成されたシステムの稼働率を求める計算問題です。以下の手順で解くことができます。
- Webサーバ部分(並列)の稼働率を求める
- データベースサーバ部分(直列)を掛け合わせる
- 最後に四捨五入する
1. 稼働率の基本的な考え方
システム全体の稼働率は、構成要素がどのように組み合わされているかによって計算式が異なります。
直列接続の場合:すべての要素が稼働している必要があります。稼働率は各要素の稼働率を掛け合わせることで求められます。 並列接続の場合:少なくとも1つが稼働していればシステムは稼働します。「すべて故障する確率」を1から引くことで求められます。
今回のシステム構成は、Webサーバ群(並列)とデータベースサーバ(直列)が直列に連結されている構造です。
2. 計算プロセス
まず、2台あるWebサーバの並列部分の稼働率を算出します。 各Webサーバの稼働率が なので、故障率は です。 2台とも故障する確率は となります。 したがって、少なくとも1台が稼働する確率は です。
次に、このWebサーバ全体の稼働率と、データベースサーバの稼働率を直列に繋ぎます。
最後に、設問の指示に従い小数第3位を四捨五入します。 を四捨五入すると となり、正解は「ウ」です。
3. なぜこの計算が必要なのか
この問題は、信頼性設計における「冗長化」の考え方を問うています。1台のサーバに障害が発生してもサービスを継続できるように、同じ役割のサーバを複数配置することを冗長化といいます。
実際のシステム運用では、単一故障点(Single Point of Failure)をなくすことが非常に重要です。この問題のように、重要なコンポーネント(ここではデータベースサーバ)が1台しかない場合、そこが故障するとシステム全体が停止してしまいます。そのため、実務ではデータベースサーバも同様に冗長化(クラスタリングなど)を行うのが一般的です。
この計算スキルは、ITサービスを提供する際、どれくらいの稼働時間(SLA:サービスレベル合意書)を保証できるかを設計・見積もりする際に直接活用されます。システムがどの程度頑健であるかを数値化して客観的に評価する、ITエンジニアにとって必須の思考プロセスです。
参考リンク
- 【ITパスポート】信頼性設計(稼働率の計算)
- 【初心者向け】冗長化とは?種類やメリット・デメリットを解説
- JIS Q 8102-1:2015 信頼性用語 第1部:用語 (JIS検索にて「信頼性用語」で検索、またはJISの正確な定義についてはこちら)