令和7年度 ITパスポート試験 公開問題 問52 解説 システム監査人の独立性
A社は会計システムの再構築のプロジェクトを立ち上げ,システム開発をB社に 外部委託している。B社から納品される成果物の検収において,プロジェクトの品 質管理に係る手続を遵守しているかどうかのシステム監査を行う監査人として,適 切な者は誰か。
- ア 会計システムの再構築に関与しないA社の管理部門のリーダー ✓ 正答
- イ 会計システムの再構築を担当するA社のプロジェクトマネージャ
- ウ 会計システムの再構築を担当するB社のシステム開発リーダー
- エ 会計システムの再構築を担当するB社の品質管理責任者
解説
この問題の正解を導くための鍵は、システム監査人にとって最も重要な要素である独立性(客観性)を判断することです。
システム監査において、監査人は被監査対象から独立していなければなりません。プロジェクトに関与しているメンバーが自らチェックを行うと、意図的な隠蔽や、無意識の甘えによる見落としが発生する可能性があるからです。したがって、プロジェクトに一切関与していない、組織として公平な立場にある第三者を選定することが正解となります。
システム監査における独立性の重要性
システム監査は、組織の目的達成を支援するために、システムの安全性や信頼性、効率性を客観的に評価する活動です。このとき、監査人に求められるのが「独立性」です。
独立性とは、利害関係を持たず、公正な判断を下せる立場にあることを指します。今回の問題に当てはめると、以下の観点で選択肢を検討できます。
・プロジェクトの当事者(プロジェクトマネージャ、システム開発リーダー、品質管理責任者) これらはシステム構築の現場において直接的な責任を負っており、成果物の良し悪しやプロジェクトの進捗に利害関係があります。自分たちが作ったシステムを自分たちで検査するのは、客観的な評価として不適切です。
・第三者(関与しない管理部門のリーダー) プロジェクトとは無関係の部署に属しているため、プロジェクトがうまくいってもいかなくても、その評価自体には影響を受けません。このような第三者が介入することで、初めてプロジェクトが正しく運用されているかの公正な評価が可能になります。
なぜこの知識が実務で重要なのか
ITパスポートでは、このような「ガバナンス」や「内部統制」に関する概念がよく問われます。実務の世界では、システム開発の現場で「自分たちだけでチェックしている」状態は非常に危険です。特に会計システムのような、組織の根幹を支えるシステムでは、不正防止やヒューマンエラーの発見のために、必ず「開発サイドとは別の目線(第三者によるチェック)」が求められます。
この問題の意図は、単に誰が監査人になるかというルールを問うだけでなく、組織の運営において「役割分担とけん制の仕組み」がいかに重要かを理解させることにあります。開発(作る人)と監査(チェックする人)を分離させることは、企業がリスクを管理し、健全に成長していくための基本的な考え方の一つです。