令和7年度 ITパスポート試験 公開問題 問86 解説 AIの識別技術
問86 動物が写っている大量の画像から犬や猫などの特徴を自動的に抽出して,動物の種類を識別できるようにする AI の技術はどれか。
- e-ラーニング
- アクティブラーニング
- アダプティブラーニング
- ディープラーニング ✓ 正答
解説
大量の画像から特徴を自動抽出するAI技術は?
この問題では、大量の画像データから「犬」「猫」といった動物の特徴を自動的に抽出し、その種類を識別できるAI技術を問われています。選択肢を見ると、AIの技術そのものというよりは、学習方法や教育手法に関する用語が混ざっています。
判断のポイントは、「大量の画像から特徴を自動的に抽出する」という部分です。 このような「データから自動で学習する」能力を持つAI技術は、ディープラーニング(深層学習)が最も合致します。
ディープラーニングとは?
ディープラーニングは、人間の脳の神経回路網(ニューラルネットワーク)を模倣したAI技術の一種です。特に、「深層(ディープ)」という言葉が示すように、人間の脳の神経回路のように多層構造を持ったニューラルネットワークを用います。
この多層構造が、ディープラーニングの最大の特徴であり、強力な学習能力の源泉となっています。
- 層ごとの特徴抽出: ディープラーニングでは、入力されたデータ(この問題では画像)は、ニューラルネットワークの各層を通過するごとに、より抽象的で高次の特徴へと変換されていきます。例えば、初期の層では画像のエッジや色の区別といった単純な特徴を捉え、後続の層に進むにつれて、それらの特徴を組み合わせて「耳」「目」「鼻」といったより複雑なパーツ、さらには「犬らしい輪郭」といった高次の特徴を自動的に学習していきます。
- 教師なし・教師あり学習: ディープラーニングは、大量のデータと、そのデータが何であるかを示す「正解ラベル」(教師データ)を用いて学習する「教師あり学習」でよく使われます。この問題の例では、「この画像は犬」「この画像は猫」といったラベルが付いた大量の画像データを用いて学習させることで、犬や猫の特徴を自動で学習し、識別できるようになります。
ディープラーニングの活用例
ディープラーニングの「大量のデータから特徴を自動抽出する」能力は、様々な分野で革新的な応用を生み出しています。
- 画像認識:
- 顔認証システム: スマートフォンのロック解除や、セキュリティシステムに利用されています。
- 医療画像診断: レントゲン写真やCTスキャン画像から、病変の早期発見を支援します。
- 自動運転: 車載カメラが捉えた道路状況、歩行者、他の車両などを識別するために不可欠な技術です。
- ショッピングサイトの商品検索: 画像で商品を検索できる機能は、ディープラーニングによる画像認識技術が基盤となっています。
- 音声認識:
- スマートスピーカー: 音声アシスタント(Siri, Alexa, Googleアシスタントなど)は、人間の言葉を理解するためにディープラーニングを利用しています。
- 文字起こしサービス: 会議の音声などを自動でテキスト化するサービスも、ディープラーニングが活用されています。
- 自然言語処理:
- 機械翻訳: Google翻訳などの精度向上に大きく貢献しています。
- 文章生成: ChatGPTのような、人間のように自然な文章を作成するAIもディープラーニングを基盤としています。
この問題は、AIが「どのように学習し、識別するのか」という基本的な仕組み、特に現代のAI技術を支えるディープラーニングの役割を理解しているかを問うています。e-ラーニング、アクティブラーニング、アダプティブラーニングは、いずれも教育の現場における学習方法や学習支援システムに関する用語であり、AIの識別技術とは直接関係ありません。