令和8年度 ITパスポート試験 公開問題 問10 解説 ブレインストーミング
会議に関する記述のうち,ブレインストーミングの進め方として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 自由奔放なアイディアは控え,実現可能なアイディアの提出を求める。 b ほかのメンバーのアイディアに便乗した案であっても,とがめずに進める。 c メンバーから出されるアイディアの中で,テーマに適したものを選別しながら進める。
- ア a
- イ a, b
- ウ a, b, c
- エ b ✓ 正答
解説
ブレインストーミングの判断基準
ブレインストーミングは「4つの原則」に従って行われる手法です。各選択肢をこの原則に照らし合わせることで正解を導き出せます。
・a:自由奔放なアイディアは控え,実現可能なアイディアの提出を求める →誤り。「自由奔放」にアイデアを出すことが原則です。実現可能性を気にせず、突飛な意見も歓迎します。
・b:ほかのメンバーのアイディアに便乗した案であっても,とがめずに進める →正しい。「便乗(結合・改善)歓迎」の原則に合致しています。他人の意見をヒントにして新しい案を作ることを推奨します。
・c:メンバーから出されるアイディアの中で,テーマに適したものを選別しながら進める →誤り。「批判厳禁」および「質より量」の原則に反します。この段階では評価や選別を行わず、とにかく多くのアイデアを出すことに専念します。
したがって、適切な記述は b のみとなり、正解はエです。
ブレインストーミングの4つの原則
ブレインストーミングは、1950年代にアレックス・オズボーンによって提唱された会議技法です。集団で発言することで、個人の思考の枠を超えたクリエイティブなアイデアを引き出すことを目的としています。正しく運用するために、以下の4つのルールが不可欠とされています。
- 批判厳禁(Judgment Deferred):他人のアイデアを否定しない。評価は後回しにする。
- 自由奔放(Free-wheeling):どんなに突飛で実現不可能に見えるアイデアも歓迎する。
- 質より量(Quantity):アイデアの質よりも、とにかく数多く出すことを重視する。
- 便乗歓迎(Combination and Improvement):他人のアイデアに自分のアイデアを加えたり、改善したりして膨らませる。
これらのルールを設ける最大の理由は、参加者の心理的安全性を確保し、発言のブレーキとなる「こんなことを言ったら笑われるかもしれない」「非現実的だと言われるかもしれない」という懸念を取り除くことにあります。
実務における活用シーン
この知識は、ITパスポートの試験対策にとどまらず、実際の業務でのチーム運営において極めて重要です。例えば、新規サービスの機能開発、システムトラブルの根本原因究明、あるいは業務改善プロジェクトのキックオフ会議などで活用されます。
特にIT分野では、技術的な正解を求める議論になりがちですが、企画の初期段階では「正解」を定義してしまうと発想が狭まります。ブレインストーミングを活用することで、エンジニア、デザイナー、営業職といった異なる視点を持つメンバーから、予想外の組み合わせや改善案を引き出すことが可能になります。
会議のファシリテーター(進行役)を務める際、「今はアイデア出しの時間なので、実現可能性は一旦横に置いて、まずは数を出すことに集中しましょう」と、この原則を参加者に周知することで、非常に生産的で活発な議論の場を作り出すことができます。