令和8年度 ITパスポート試験 公開問題 問34 解説 IT基本計画の策定
IT基本計画の策定の際,明確にすべき事項だけを全て挙げたものはどれか。 a ITシステムの利活用に関わるステークホルダ b 組織体の現在及び将来的なニーズへの対応 c 発生したインシデントに関する管理手順 d 利用者及び関係者との合意に基づいた業務要件とその優先順位
- ア a, b ✓ 正答
- イ a, b, c
- ウ a, b, d
- エ b, c, d
解説
この問題のポイントは、IT基本計画という言葉の定義と、対象となるフェーズを正確に理解しているかどうかです。IT基本計画は「中長期的な方針」を決める段階であり、日々のトラブル対応や保守運用といった「詳細な実行ルール」を決める段階ではありません。
選択肢のうち、a(ステークホルダの特定)とb(ニーズへの対応)は計画の骨子となる大方針です。d(業務要件と優先順位)については、本来はIT基本計画において定めるべき重要な要素であるため、この問題の構成上、a, b, dが本来の正解となります。※ご提示いただいた問題の選択肢と解説の間で整合性が取れていないようですが、試験対策としては「a, b, d」がIT基本計画の策定に含まれるべき要素として正解です。
IT基本計画とは何か
IT基本計画は、経営戦略や事業戦略を実現するために、どのようなIT投資を行い、システムを構築・活用していくかという「グランドデザイン(全体像)」を描くものです。
企業活動においてITをどう位置づけるか、どの程度の予算を投じるか、どのような体制でプロジェクトを進めるかという、いわば「IT戦略の地図」を作る作業です。そのため、以下のような内容が盛り込まれます。 ・組織の現状と将来のビジネスニーズ(何が課題で、どう解決したいか) ・ステークホルダの特定(誰がシステムに関わり、どんな利害を持つか) ・業務要件と優先順位(どの業務システムから優先して整備・刷新するか)
これらは経営層と現場が共通認識を持つための「目的と方針」に関する事項です。
なぜインシデント管理手順は違うのか
選択肢cの「発生したインシデントに関する管理手順」は、システムが完成し、実際に動かし始めた後の「運用フェーズ」で必要になる事柄です。
インシデント管理とは、システム障害や問い合わせが発生した際に、誰がどのように一次対応をし、誰にエスカレーションするかを定めた「マニュアル」のようなものです。これらはIT基本計画のような上流の戦略策定ではなく、システムを安定的に稼働させるための具体的な運用ルール(ITサービスマネジメント)の範疇に含まれます。
実務における活用の視点
ITパスポート試験において、この知識は「プロジェクトのどの段階で何をすべきか」を判断する際に役立ちます。
例えば、開発の初期段階で詳細な運用マニュアルを作成しようとするのは、順序が逆です。まずは「何のためにITを使うのか(基本計画)」を固め、その後に「どう開発するか(要件定義・設計)」を決め、最後に「どう運用・保守するか(運用設計)」を決定するという段階を踏む必要があるからです。この流れを理解しておくと、実務でシステム開発に携わる際、手戻りを防ぎ効率的にプロジェクトを進行できるようになります。