第二級海上特殊無線技士 試験問題例題 問8 解説 聴取義務
無線局は、遭難通信等を行う場合を除き、相手局を呼び出そうとするときは、電波を発射する前に、どの電波の周波数を聴取しなければならない。次のうちから選べ。
- 自局の発射しようとする周波数その他必要と認める周波数 ✓ 正答
- 自局に指定されているすべての周波数
- 自局の付近にある無線局において使用している電波の周波数
- 他の既に行われている通信に使用されている電波の周波数であって、最も感度の良いもの
解説
聴取義務の原則は「これから使う周波数を守る」こと
この問題は、無線運用における基本中の基本である「混信防止」のルールを問うものです。正解を導くための判断基準は、これから自分が使おうとしているチャンネル(周波数)が、すでに誰かによって使われていないかを確認することです。したがって、選択肢の中から「自局の発射しようとする周波数」を含むものを選べば正解となります。
なぜ通信の前に聴取(傍受)が必要なのか
無線通信は、同じ周波数を複数の局が同時に使用すると、互いに混信し合って内容が聞き取れなくなるという性質を持っています。これを防ぐために、無線局運用規則では、電波を発射する前に「これから使う周波数を聴取し、他の通信に迷惑をかけないこと」が義務付けられています。
この「聴取」という行為は、単なるマナーではなく、電波法に基づく厳格なルールです。もしこの確認を怠って電波を発射してしまうと、緊急の通信を妨害してしまったり、円滑な通信を著しく阻害したりする恐れがあります。
現場で求められる判断力
試験問題を解く際、迷うべき点は「どこを聴取すればよいか」という範囲です。
- なぜ「自局の発射しようとする周波数」なのか これから自分の声を届けるために使うチャンネルが空いているかを確認しなければ、後から通信を始めた自分が原因で、すでに通信している相手に混信を与えてしまうからです。
- なぜ「その他必要と認める周波数」も含まれるのか 混信は、隣接する周波数や、自局が使用するチャンネルに関連する通信状況によっても影響を受けることがあります。確実に通信を確立し、安全を確保するためには、メインの周波数だけでなく、周囲の状況も注意深く見渡す必要があるからです。
他の選択肢である「すべての周波数」や「付近の無線局が使用しているすべての周波数」を聴取することは現実的ではなく、また「最も感度の良いもの」を選ぶといった基準も、通信の秩序を維持する観点からは不適切です。
無線運用の実務における意義
この知識は、実際に無線機を操作する現場で「誰にも迷惑をかけずに通信を成立させる」ための安全装置として機能します。
例えば、海上での船舶間の通信を想像してください。ある船舶が重要な操船情報を発信しようとしているとき、別の船舶が確認もせずに同じ周波数で電波を出せば、重要な警告が聞き漏らされるかもしれません。このルールを遵守することは、単なる機器の操作手順ではなく、海上の安全を守るための必須の行動です。試験に合格した後、実際に無線機を手に取ったとき、この「送信ボタンを押す前に一度聴取する」という一呼吸が、多くのトラブルを未然に防ぐことにつながります。