第二級海上特殊無線技士 試験問題例題 問9 解説 無線電話の試験
無線局が電波を発射して行う無線電話の機器の試験中、しばしば確かめなければならないことはどれか。次のうちから選べ。
- 他の無線局から停止の要求がないかどうか。 ✓ 正答
- 「本日は晴天なり」の連続及び自局の呼出名称の送信が5秒間を超えていないかどうか。
- その電波の周波数の偏差が許容値を超えていないかどうか。
- 空中線電力が許容値を超えていないかどうか。
解説
この問題は、無線局の運用における「マナーとルールの基本」を問うものです。機器の試験中に最優先すべきことは、自局の試験によって他の通信を妨害していないかを確認することである、と判断します。
通信の秩序を守るためのルール
電波は目に見えない共有の資源です。試験用とはいえ、自局が発射した電波が、誰かの重要な通信や救難通信の妨げになってしまっては大変なことになります。そのため、電波法に基づく「無線局運用規則」では、試験を行う際には周囲の状況を常に監視することが義務付けられています。
具体的には、試験電波を発射している最中であっても、定期的に受信状態に戻して他の局からの中断要請がないか確認しなければなりません。もし他の局から「やめてくれ」という要求があれば、即座に試験を中止する必要があります。これが無線通信における「混信回避」の基本原則です。
試験問題との向き合い方
試験問題を解く際は、技術的な測定数値(周波数偏差や空中線電力)と、運用上の配慮(他局への影響)のどちらが求められているかを考えます。
周波数偏差の測定や空中線電力の調整は、基本的に試験室や専門の点検で行うこと、あるいは機器の設計段階で保証されるものです。現場で無線電話機を操作している際、常時その数値を測定し続けることは現実的ではありません。一方、他の局からの停止要求を確認することは、無線機を操作するオペレーターがその場ですぐに行える「運用上の義務」です。この「現実的に実施可能なことかどうか」という視点を持つと、選択肢の絞り込みが容易になります。
無線運用の現場における重要性
この知識は、免許を取得して実際に無線機を操作する際に最も必要となる「現場の感覚」を養うものです。
例えば、混信を与えないための試験では、周囲の通信が落ち着いている時間帯を選び、かつ短時間で終えることが推奨されます。「試験中です」というアナウンスを繰り返し、相手局からの「了解しました」あるいは「混信しています」という応答に気を配る姿勢そのものが、電波法令を守ることに繋がります。
試験の合否だけでなく、将来的に海上で円滑な通信を行うためには、自分一人が電波を使っているのではないという意識が不可欠です。この問題は、無線従事者としての責任感を問う、非常に実務に即した重要な問題といえます。