第三級海上特殊無線技士 / 第二級海上特殊無線技士 試験問題例題 / 各問題解説 / 問10
certification-simodake-work

第二級海上特殊無線技士 試験問題例題 問10 解説 遭難周波数の使用

遭難通信を行う場合を除き、その周波数の電波の使用は、できる限り短時間とし、かつ、1分以上にわたってはならないものはどれか。次のうちから選べ。

  1. 156.8MHz ✓ 正答
  2. 156.525MHz
  3. 2187.5kHz
  4. 27524kHz

解説

この問題は、周波数ごとの役割とルールを記憶しているかを問う典型的な知識問題です。156.8MHzという数値を見た瞬間に、これが国際VHFの遭難・呼出周波数であることを連想できれば正解にたどり着けます。

周波数が持つ役割と制限のルール

無線局運用規則では、混信を避け、緊急時の通信を確実に確保するために特定の周波数の利用方法が厳しく制限されています。

156.8MHzは、国際VHFにおける遭難・緊急・安全および呼出のための国際周波数(16チャンネル)です。非常に多くの船舶がこのチャンネルを聴取しているため、個別の通信で長時間占有してしまうと、他の船舶の遭難信号を受信できなくなる危険性があります。そのため、この周波数では「遭難通信以外では1分を超えて送信してはならない」という極めて厳しいルールが設けられています。

一方で、他の選択肢である156.525MHzはデジタル選択呼出(DSC)用の周波数であり、2187.5kHzや27524kHzはそれぞれ中波帯や短波帯におけるDSC用周波数です。これらは自動的に信号を送受信するためのものであり、音声による通話の長さという観点からは、156.8MHzのような制限の対象とは異なります。

試験問題を解くための思考手順

試験本番では、まず選択肢の中に「国際VHFの遭難周波数」が含まれているかを探します。

  1. 156.8MHzを見つける。これが16チャンネル、すなわち国際的な遭難・呼出周波数であることを認識する。
  2. 遭難や呼出しに使われるということは、常に誰かが空き状況を確認している重要な回線であることを思い出す。
  3. 重要な回線であるからこそ、誰か一人が長時間占有してはいけない、つまり「短時間であるべき」というルールの対象であることを導き出す。
  4. 他の選択肢はすべてDSC(デジタル通信)用の周波数であるため、音声通話の制限ルールとは関連が薄いと判断する。

この手順により、迷うことなく正解を選ぶことが可能です。

現場で求められる安全意識の重要性

この知識は、実務で無線機を操作する際に最も重要視される「現場の安全運用」に直結します。

海上において156.8MHzは、いわば生命線です。自分の船舶から誰かを呼び出すために16チャンネルを使用する場合、相手が応答したら直ちに「何チャンネル(例:6チャンネルや72チャンネルなど)に移りましょう」と指示を出し、156.8MHzから退避しなければなりません。

この問題を解くことは、単なる丸暗記ではなく、「なぜ16チャンネルを長時間使ってはいけないのか」という理由を理解することに繋がります。もしあなたが運航中に無線を使う際、このルールを無視して雑談や長時間の連絡を16チャンネルで行えば、付近を航行する遭難船の救助要請が届かなくなるかもしれません。試験を通じたこの学習は、海上保安の仕組みを守るための倫理観を養うプロセスとも言えます。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう