令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問152 解説 問15(b) 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問15(b)
問15(b) B問題(配点は1問題当たり(a)5点,(b)5点,計10点) 問 15 復水器での冷却に海水を使用する汽力発電所が出力 $600\text{ MW}$ で運転しており,復水器冷却水量が $24\text{ m}^3/\text{s}$,冷却水の温度上昇が $7\text{ }^\circ\text{C}$ であるとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 ただし,海水の比熱を $4.02\text{ kJ}/(\text{kg}\cdot\text{K})$,密度を $1.02 \times 10^3\text{ kg}/\text{m}^3$,発電機効率を $98\text{ \%}$ とする。 (b) タービン室効率の値 $[\%]$ として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,条件を示していない損失は無視できるものとする。
- 41.5
- 46.5
- 47.0 ✓ 正答
- 47.5
- 48.0
解説
発電機出力 600 MW と発電機効率 98 % から求まるタービン軸出力約 612.2 MW と、復水器で冷却水に放出される熱量約 688.9 MW の合計をタービン室への入力エネルギーとみなすことで、タービン軸出力を入力エネルギーで割ったタービン室効率は約 47.0 % と計算され、選択肢(3)が正答となります。
汽力発電所におけるエネルギーの流れと熱効率の関係
汽力発電所では、ボイラで発生した蒸気の熱エネルギーを使ってタービンを回し、その機械的エネルギーを発電機に伝えて電気エネルギーを取り出します。この一連のエネルギー変換プロセスには、エネルギーの形態が変化してもその総量は常に一定に保たれるというエネルギー保存の法則(熱力学第一法則)が成り立ちます。
タービン室に入力された蒸気の全熱量(入力エネルギー)は、タービンを回転させる仕事に使われる熱量(タービン軸出力)と、仕事を終えて復水器で海水(冷却水)に引き取られる熱量(復水器放出熱量)の2つに分かれます。問題文より、その他の損失(配管からの放熱など)は無視できるため、タービン室への入力エネルギーは「タービン軸出力 + 復水器放出熱量」として過不足なく表されます。
発電機では、伝わってきたタービン軸出力に発電機効率を掛けた分のエネルギーが電気エネルギー(発電機出力)に変換されます。一方で、タービン室効率とは、タービン室に入ってきた全エネルギーのうち、どれだけをタービン軸出力(機械的エネルギー)として有効に変換できたかを示す比率です。したがって、タービン軸出力と復水器放出熱量の双方を算出することが、タービン室効率を求めるための鍵となります。
タービン室におけるエネルギー配分と効率の算出
発電機出力からタービン軸出力を算出する 発電機の電気出力 は 600 MW であり、発電機効率は 98 % (0.98)です。タービンから発電機に伝わった機械的エネルギー(タービン軸出力)を とすると、発電機出力は に発電機効率を掛けた値になります。これらを kW 単位に合わせて逆算します。
復水器で冷却水に奪われる熱量を算出する 復水器では、冷却水である海水の流量、密度、比熱、および温度上昇から、1秒あたりに海水が奪い去った熱量 を求めます。海水の体積流量 は 、密度 は 、比熱 は 、温度上昇 は 7 K(7 ℃)です。1秒あたりの熱量(kJ/s)は kW と等価です。
タービン室への全入力熱量を計算する エネルギー保存の法則に基づき、タービン室に入力された全熱量 は、タービン軸出力 と復水器への放出熱量 の合計となります。
タービン室効率を計算する タービン室効率 は、タービン室への入力熱量 に対するタービン軸出力 の割合です。百分率で表すため 100 を掛けます。 得られた値を四捨五入して最も近い選択肢を選ぶと、47.0 % になります。
海水の流量や温度上昇から得られる放出熱量と、電気出力から逆算したタービン軸出力を比較してみると、タービン内でエネルギーがどのように分配されているかという物理的なバランスが見えてきます。