第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問161
certification-simodake-work

令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問161 解説 問16(a) 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問16(a)

設問図

問16(a) 問 16 電線 1 線の抵抗が $6\ \Omega$ ,誘導性リアクタンスが $4\ \Omega$ である三相 3 線式送電線について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。 (a) 受電端電圧を $60\ \text{kV}$,送電線での電圧降下率を受電端電圧基準で $10\ \%$ に保つものとする。この受電端に,力率 $80\ \%$ (遅れ)の負荷を接続する。この場合,受電可能な三相皮相電力の値 $[\text{MV}\cdot\text{A}]$ として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 28.9
  2. 42.9
  3. 50.0 ✓ 正答
  4. 60.5
  5. 86.6

解説

送電線路の電圧降下近似式を用いることで、受電端電圧基準で10%という制限条件を満たす送電電流が算出され、そこから皮相電力が50.0 MV・Aと導かれます。

送電線路の電圧降下と近似式

三相送電線路において、受電端電圧 VrV_r [V] に対する送電端電圧 VsV_s [V] の関係は、線路の抵抗 RR [Ω\Omega]、リアクタンス XX [Ω\Omega]、および負荷電流 II [A] を用いてベクトル図で表されます。このとき、送電端と受電端の電圧差(電圧降下)は、以下の近似式によって求められます。

ϵ≈I(Rcos⁡ϕ+Xsin⁡ϕ)Vr/3\epsilon \approx \frac{I(R \cos\phi + X \sin\phi)}{V_r/\sqrt{3}}

ここで、ϵ\epsilon は受電端電圧基準の電圧降下率、cos⁡ϕ\cos\phi は負荷の力率、sin⁡ϕ\sin\phi は無効率です。三相送電線では、相電圧を基準として計算を行うため、線間電圧である 6060 kV を 3\sqrt{3} で除して用いる必要があります。この式は、送電線路のインピーダンス降下が受電端電圧に対して十分に小さい場合に成立し、実用的な送電計算において標準的に用いられます。

送電可能電力の算出手順

  1. 基準となる受電端相電圧 ErE_r を求めます。 Er=60×1033≈34641E_r = \frac{60 \times 10^3}{\sqrt{3}} \approx 34641 [V]

  2. 電圧降下率の定義より、許容される電圧降下分 VdropV_{drop} を決定します。電圧降下率が10%であるため、受電端相電圧の10%が許容降下分となります。 Vdrop=0.1×Er=3464.1V_{drop} = 0.1 \times E_r = 3464.1 [V]

  3. 電圧降下の近似式に数値を代入し、流せる電流 II を算出します。力率 cos⁡ϕ=0.8\cos\phi = 0.8 より、sin⁡ϕ=1−0.82=0.6\sin\phi = \sqrt{1 - 0.8^2} = 0.6 です。 3464.1=I(6×0.8+4×0.6)=I(4.8+2.4)=7.2I3464.1 = I(6 \times 0.8 + 4 \times 0.6) = I(4.8 + 2.4) = 7.2I I=3464.17.2≈481.1I = \frac{3464.1}{7.2} \approx 481.1 [A]

  4. 三相皮相電力 SS [V・A] を求めます。三相皮相電力は S=3×Vr×IS = \sqrt{3} \times V_r \times I で計算できます。 S=3×(60×103)×481.1≈49,997,000S = \sqrt{3} \times (60 \times 10^3) \times 481.1 \approx 49,997,000 [V・A] ≈50.0\approx 50.0 [MV・A]

送電線の抵抗値やリアクタンス成分が受電端電圧とどのように作用して電圧降下が生じるのか、電圧のベクトル関係図と照らし合わせてみてください。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう