受電端電圧を基準とした電圧降下率を10%以下に抑えるために必要な送電線での電圧降下分を求め、負荷の無効電力と調相設備の無効電力の差がその電圧降下条件を満たすように計算することで、調相設備から供給すべき無効電力20.5 Mvarが導かれます。
電圧降下の近似式
三相送電線において、受電端電圧を Vr[V]、送電線の抵抗を r[Ω]、リアクタンスを x[Ω]、受電端に流れる電流を I[A]、負荷の力率角を θ とすると、線間電圧基準の電圧降下 ΔV は、次式で近似されます。
ΔV≈3I(rcosθ+xsinθ)
ここで、P を三相有効電力、Q を三相無効電力とすると、P=3VrIcosθ および Q=3VrIsinθ の関係があるため、電圧降下は以下のように書き換えられます。
ΔV≈VrrP+xQ
この式は、送電線における電圧降下が、電力の有効成分 P と無効成分 Q の双方によって引き起こされることを示しています。調相設備を接続して無効電力 Q を調整することで、受電端電圧を制御できるという原理に基づいています。
無効電力の計算プロセス
以下の手順で調相設備の容量を求めます。
電圧降下率から許容電圧降下を求める
電圧降下率は受電端電圧 Vr=60 kV=60×103 V を基準に10%とされているため、許容される電圧降下 ΔV は以下となります。
ΔV=60×103×0.1=6×103 V
負荷の有効電力 P と無効電力 QL を求める
負荷の皮相電力 S=65 MV⋅A、力率 cosθ=0.6 です。
有効電力 P=Scosθ=65×0.6=39 MW
無効電力 QL=Ssinθ=65×1−0.62=65×0.8=52 Mvar
調相設備による合成無効電力 Q を求める
調相設備の無効電力を QC とすると、系統から見た受電端の合成無効電力は Q=QL−QC となります。これを電圧降下の式 ΔV=VrrP+xQ に代入します。
6×103=60×1036×(39×106)+4×(52×106−QC×106)
両辺に 60×103 を掛けて整理します。
360×106=234×106+208×106−4×QC×106
4×QC×106=(234+208−360)×106
4×QC=82
QC=20.5 Mvar
負荷の力率と送電線のインピーダンスの数値を、電圧降下の近似式へあらためて重ねてみると、受電端で消費される無効電力と調相設備のバランスが見えてきます。
参考リンク