第三種電気主任技術者試験 / 令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問60
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令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問60 解説 問6 問6

問6 問 6 定格値が一次電圧 $66\text{ kV}$,二次電圧 $6.6\text{ kV}$,容量 $30\text{ MV}\cdot\text{A}$ の三相変圧器がある。一次側に換算した漏れリアクタンスの値が $14.5\ \Omega$ のとき,百分率リアクタンスの値 $[\%]$ として,最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。

  1. (1) 3.3
  2. (2) 5.8
  3. (3) 10.0 ✓ 正答
  4. (4) 17.2
  5. (5) 30.0

解説

定格一次電圧 66 kV66\text{ kV}、容量 30 MV⋅A30\text{ MV}\cdot\text{A} の三相変圧器において、一次側に換算した漏れリアクタンス 14.5 Ω14.5\ \Omega から百分率リアクタンスの公式を用いて計算すると 10.0 [%]10.0\ [\%] になるため、正答は (3) です。

百分率リアクタンスの定義と三相回路における公式の導出

百分率リアクタンスとは、送配電線や変圧器などの交流回路において、定格電流が流れたときに発生するリアクタンスによる電圧降下が、定格相電圧に対してどの程度の割合(パーセント)に相当するかを表したものです。この概念は百分率インピーダンスの一部であり、系統の短絡電流の計算や電圧降下の評価において重要な役割を果たします。

三相交流回路における百分率リアクタンスの基本的な定義と、計算を容易にするための公式の導出は以下の通りです。

まず、定格相電圧を En [V]E_n \text{ [V]}、定格電流を In [A]I_n \text{ [A]}、漏れリアクタンスを X [\Omega]X \text{ [\Omega]} とすると、百分率リアクタンス %X [%]\%X \text{ [\%]} の定義式は次のようになります。

%X=XInEn×100\%X = \frac{X I_n}{E_n} \times 100

しかし、実際の三相回路では、相電圧ではなく線間電圧 Vn [V]V_n \text{ [V]}、および相容量ではなく三相定格容量 Pn [V⋅A]P_n \text{ [V}\cdot\text{A]} が与えられることが一般的です。これらを定義式に適用するために、相電圧と線間電圧、定格容量と定格電流の関係式をそれぞれ用いて変形します。

三相交流において、相電圧 EnE_n と線間電圧 VnV_n の間には次の関係があります。

En=Vn3E_n = \frac{V_n}{\sqrt{3}}

また、三相の定格容量 PnP_n は、定格電流 InI_n と線間電圧 VnV_n を用いて以下のように表されます。

Pn=3VnInP_n = \sqrt{3} V_n I_n

この式から、定格電流 InI_n を表す式を導きます。

In=Pn3VnI_n = \frac{P_n}{\sqrt{3} V_n}

これら EnE_n と InI_n の式を、最初の定義式に代入します。

%X=X⋅Pn3VnVn3×100\%X = \frac{X \cdot \frac{P_n}{\sqrt{3} V_n}}{\frac{V_n}{\sqrt{3}}} \times 100

分母と分子にある 3\sqrt{3} が約分されて消えるため、式は以下のように整理されます。

%X=XPnVn2×100\%X = \frac{X P_n}{V_n^2} \times 100

これが、百分率リアクタンスを求めるための実用的な公式です。

さらに、単位に注目します。実務や試験問題では、容量の単位として MV⋅A\text{MV}\cdot\text{A}、電圧の単位として kV\text{kV} がよく使われます。これらの単位を用いて数値をそのまま代入できるように、単位の換算を行います。 定格容量を Pn,M [MV⋅A]P_{n,\text{M}} \text{ [MV}\cdot\text{A]}、線間電圧を Vn,k [kV]V_{n,\text{k}} \text{ [kV]} とおくと、 Pn=Pn,M×106 [V⋅A]P_n = P_{n,\text{M}} \times 10^6 \text{ [V}\cdot\text{A]} Vn=Vn,k×103 [V]V_n = V_{n,\text{k}} \times 10^3 \text{ [V]} となります。これらを公式に代入します。

%X=X⋅(Pn,M×106)(Vn,k×103)2×100\%X = \frac{X \cdot (P_{n,\text{M}} \times 10^6)}{(V_{n,\text{k}} \times 10^3)^2} \times 100 %X=XPn,M×106Vn,k2×106×100\%X = \frac{X P_{n,\text{M}} \times 10^6}{V_{n,\text{k}}^2 \times 10^6} \times 100 %X=XPn,MVn,k2×100\%X = \frac{X P_{n,\text{M}}}{V_{n,\text{k}}^2} \times 100

分母と分子の 10610^6 が相殺されるため、容量を MV⋅A\text{MV}\cdot\text{A}、電圧を kV\text{kV} の単位のまま数値として代入しても、全く同じ結果が得られることがわかります。

三相変圧器の百分率リアクタンスの算出

  1. 一次側の諸元と漏れリアクタンスの値を整理する。 設問で与えられている変圧器の定格値は、一次電圧 V1n=66 kVV_{1n} = 66\text{ kV}、二次電圧 V2n=6.6 kVV_{2n} = 6.6\text{ kV}、容量 Pn=30 MV⋅AP_n = 30\text{ MV}\cdot\text{A} です。そして、与えられている漏れリアクタンス X1=14.5 ΩX_1 = 14.5\ \Omega は、一次側に換算した値です。百分率リアクタンスを正しく計算するためには、リアクタンスの基準となっている側(今回は一次側)の定格電圧を組み合わせる必要があります。したがって、計算に使用する電圧は一次電圧の 66 kV66\text{ kV} を選択します。

  2. 百分率リアクタンスの計算式に数値を代入する。 先に導出した、容量に MV⋅A\text{MV}\cdot\text{A}、電圧に kV\text{kV} をそのまま代入できる公式を用います。 X=14.5 ΩX = 14.5\ \Omega Pn,M=30 MV⋅AP_{n,\text{M}} = 30\text{ MV}\cdot\text{A} Vn,k=66 kVV_{n,\text{k}} = 66\text{ kV} これらを公式に当てはめます。 %X=14.5×30662×100\%X = \frac{14.5 \times 30}{66^2} \times 100

  3. 代入した数値を計算する。 まず分母と分子をそれぞれ計算します。 分母: 662=435666^2 = 4356 分子: 14.5×30×100=4350014.5 \times 30 \times 100 = 43500 これらを割り算します。 %X=435004356≈9.986 [%]\%X = \frac{43500}{4356} \approx 9.986\ [\%] 計算結果は 9.986 [%]9.986\ [\%] となり、選択肢の中で最も近い値は 10.010.0 になります。 なお、誤って基準電圧に二次電圧の 6.6 kV6.6\text{ kV} を使用してしまうと、分母が極端に小さくなり、実際の変圧器ではあり得ないほど巨大な百分率リアクタンスが算出されてしまいます。必ず、漏れリアクタンスが換算されている側の定格電圧を対応させることが重要です。

一次側の定格電圧 66 kV66\text{ kV} や定格容量 30 MV⋅A30\text{ MV}\cdot\text{A} という具体的な値と、一次側に換算された 14.5 Ω14.5\ \Omega というリアクタンスの関係を計算式に重ねてみると、変圧器内部で発生する電圧降下の割合がどのようなバランスで成り立っているのかが見えてきます。

参考リンク

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