定格一次電圧 66 kV、容量 30 MV⋅A の三相変圧器において、一次側に換算した漏れリアクタンス 14.5 Ω から百分率リアクタンスの公式を用いて計算すると 10.0 [%] になるため、正答は (3) です。
百分率リアクタンスの定義と三相回路における公式の導出
百分率リアクタンスとは、送配電線や変圧器などの交流回路において、定格電流が流れたときに発生するリアクタンスによる電圧降下が、定格相電圧に対してどの程度の割合(パーセント)に相当するかを表したものです。この概念は百分率インピーダンスの一部であり、系統の短絡電流の計算や電圧降下の評価において重要な役割を果たします。
三相交流回路における百分率リアクタンスの基本的な定義と、計算を容易にするための公式の導出は以下の通りです。
まず、定格相電圧を En [V]、定格電流を In [A]、漏れリアクタンスを X [\Omega] とすると、百分率リアクタンス %X [%] の定義式は次のようになります。
%X=EnXIn×100
しかし、実際の三相回路では、相電圧ではなく線間電圧 Vn [V]、および相容量ではなく三相定格容量 Pn [V⋅A] が与えられることが一般的です。これらを定義式に適用するために、相電圧と線間電圧、定格容量と定格電流の関係式をそれぞれ用いて変形します。
三相交流において、相電圧 En と線間電圧 Vn の間には次の関係があります。
En=3Vn
また、三相の定格容量 Pn は、定格電流 In と線間電圧 Vn を用いて以下のように表されます。
Pn=3VnIn
この式から、定格電流 In を表す式を導きます。
In=3VnPn
これら En と In の式を、最初の定義式に代入します。
%X=3VnX⋅3VnPn×100
分母と分子にある 3 が約分されて消えるため、式は以下のように整理されます。
%X=Vn2XPn×100
これが、百分率リアクタンスを求めるための実用的な公式です。
さらに、単位に注目します。実務や試験問題では、容量の単位として MV⋅A、電圧の単位として kV がよく使われます。これらの単位を用いて数値をそのまま代入できるように、単位の換算を行います。
定格容量を Pn,M [MV⋅A]、線間電圧を Vn,k [kV] とおくと、
Pn=Pn,M×106 [V⋅A]
Vn=Vn,k×103 [V]
となります。これらを公式に代入します。
%X=(Vn,k×103)2X⋅(Pn,M×106)×100
%X=Vn,k2×106XPn,M×106×100
%X=Vn,k2XPn,M×100
分母と分子の 106 が相殺されるため、容量を MV⋅A、電圧を kV の単位のまま数値として代入しても、全く同じ結果が得られることがわかります。
三相変圧器の百分率リアクタンスの算出
一次側の諸元と漏れリアクタンスの値を整理する。
設問で与えられている変圧器の定格値は、一次電圧 V1n=66 kV、二次電圧 V2n=6.6 kV、容量 Pn=30 MV⋅A です。そして、与えられている漏れリアクタンス X1=14.5 Ω は、一次側に換算した値です。百分率リアクタンスを正しく計算するためには、リアクタンスの基準となっている側(今回は一次側)の定格電圧を組み合わせる必要があります。したがって、計算に使用する電圧は一次電圧の 66 kV を選択します。
百分率リアクタンスの計算式に数値を代入する。
先に導出した、容量に MV⋅A、電圧に kV をそのまま代入できる公式を用います。
X=14.5 Ω
Pn,M=30 MV⋅A
Vn,k=66 kV
これらを公式に当てはめます。
%X=66214.5×30×100
代入した数値を計算する。
まず分母と分子をそれぞれ計算します。
分母: 662=4356
分子: 14.5×30×100=43500
これらを割り算します。
%X=435643500≈9.986 [%]
計算結果は 9.986 [%] となり、選択肢の中で最も近い値は 10.0 になります。
なお、誤って基準電圧に二次電圧の 6.6 kV を使用してしまうと、分母が極端に小さくなり、実際の変圧器ではあり得ないほど巨大な百分率リアクタンスが算出されてしまいます。必ず、漏れリアクタンスが換算されている側の定格電圧を対応させることが重要です。
一次側の定格電圧 66 kV や定格容量 30 MV⋅A という具体的な値と、一次側に換算された 14.5 Ω というリアクタンスの関係を計算式に重ねてみると、変圧器内部で発生する電圧降下の割合がどのようなバランスで成り立っているのかが見えてきます。
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