令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問152 解説 問15(b) 大問15
問15(b) 図のように、抵抗 6Ω と誘導性リアクタンス 8Ω を Y 結線し、抵抗 r[Ω] を Δ 結線した平衡三相負荷に、200 V の対称三相交流電源を接続した回路がある。抵抗 6Ω と誘導性リアクタンス 8Ω に流れる電流の大きさを I<sub>s</sub> [A]、抵抗 r[Ω] に流れる電流の大きさを I<sub>r</sub> [A] とする。電流 I<sub>s</sub> [A] と I<sub>r</sub> [A] の大きさ が等しいとき、次の (a) 及び (b) の問いに答えよ。 図中の回路が消費する電力の [kW] として、最も近いものを次の (1)~(5) のうちから一つ選べ。
- 2.4
- 3.1
- 4.0
- 9.3 ✓ 正答
- 10.9
解説
設問(b)では、回路が消費する電力の大きさを問われており、正答は9.3kWです。これは、Y結線の負荷のインピーダンスとΔ結線の負荷のインピーダンスの関係、およびそれらに流れる電流の大きさに関する条件から、抵抗の値を特定し、さらに電力計算式を適用することで導き出されます。
三相交流回路における負荷の電力計算
三相交流回路において、負荷が消費する電力は、各相に流れる電流とそのインピーダンスの抵抗成分によって決まります。三相電力の計算には、一般的に以下の式が用いられます。
(線間電圧、線電流、力率角)
または、各相の電圧、電流、力率角を用いると、
消費電力のみを考える場合は、抵抗成分による損失電力に注目します。各相の抵抗をとすると、消費電力は以下のようになります。
Y-Δ結線変換と電流の関係
この問題では、Y結線とΔ結線が混在する負荷となっています。Y結線とΔ結線の等価変換の考え方や、それぞれの結線における線電流と相電流の関係を理解することが重要です。
Y結線において、線電流と相電流は等しくなります ()。 Δ結線において、線電流は相電流の倍になります ()。
また、Y結線とΔ結線が等価であるという条件を用いると、Y結線の各相のインピーダンスを、Δ結線の各相のインピーダンスをとすると、以下の関係が成り立ちます。
設問の条件と解法
問題文より、Y結線された抵抗と誘導性リアクタンス、およびΔ結線された抵抗があります。電源電圧は対称三相交流200Vです。 Y結線の負荷に流れる電流の大きさを、Δ結線の負荷に流れる電流の大きさをとすると、という条件が与えられています。
1. Y結線部分のインピーダンス
Y結線された抵抗と誘導性リアクタンスの合成インピーダンスは、複素数で表すと です。このインピーダンスの大きさは です。 Y結線では、線電流と相電流は等しいので、はY結線部分の各枝に流れる電流の大きさです。
2. Δ結線部分のインピーダンス
Δ結線された抵抗の各枝のインピーダンスはです。
3. の条件から を求める
まず、Y結線部分とΔ結線部分がそれぞれどのような電流を分担しているかを考える必要があります。 Y結線部分の各枝には、相電流に相当する電流が流れます。 Δ結線部分については、接続されている各辺に電流が流れます。
ここで、Y結線部分のインピーダンスの大きさ から、Y結線部分に流れる相電流と電源電圧の関係を考えます。電源の線間電圧が200Vであるため、Y結線における相電圧は となります。 したがって、 となります。
次に、Δ結線部分に流れる電流とY結線部分に流れる電流の関係を考えます。問題文では、は「抵抗6Ωと誘導性リアクタンス8Ωに流れる電流の大きさ」、は「抵抗r[Ω]に流れる電流の大きさ」と定義されています。この「抵抗r[Ω]に流れる電流」は、Δ結線の一辺に流れる相電流を指していると解釈するのが一般的です。
Y結線とΔ結線の負荷が並列に接続されていると考えると、電源電圧(線間電圧)が200Vであるため、Y結線部分にかかる相電圧は 、Δ結線部分にかかる相電圧は200Vとなります。
Y結線部分のインピーダンスの大きさは です。 Y結線部分の各枝に流れる電流の大きさは、 です。
Δ結線部分の各枝(抵抗)に流れる電流の大きさをとします。 問題文の条件は、 です。 したがって、 となります。
Δ結線された抵抗の各辺に流れる電流がなので、Δ結線部分のインピーダンスの大きさは、この電流と相電圧の関係から求められます。Δ結線部分にかかる相電圧は線間電圧と同じ200Vです。 となります。
この値は概算すると です。 選択肢(a)を見ると、(4) 17.3 がこれに近いです。
4. 回路が消費する電力の計算
回路が消費する電力は、抵抗成分による電力損失です。Y結線部分の抵抗とΔ結線部分の抵抗が消費電力に寄与します。
Y結線部分の消費電力: Y結線部分の各枝に流れる電流は、抵抗はです。 Y結線部分の消費電力 です。
Δ結線部分の消費電力: Δ結線部分の各枝に流れる電流は、抵抗は です。 Δ結線部分の消費電力 です。 です。
回路全体の消費電力: 回路全体の消費電力は、Y結線部分の抵抗による電力損失と、Δ結線部分の抵抗による電力損失の合計です。 です。
したがって、回路が消費する電力は、約9.3kWとなります。