令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問112 解説 問11(b) 問11
問11(b) 図は,線間電圧V[V],周波数f[Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量をC1[F],需要設備一相の全対地静電容量をC2[F]とするとき、次の(b)の問いに答えよ。ただし,図示されていない負荷,線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。小問(a)の地絡電流Igは高圧配電線路側と需要設備側に分流し,需要設備側に分流した電流は零相変流器を通過して検出される。上記のような需要設備外の事故に対しても,零相変流器が検出する電流の大きさによっては地絡継電器が不必要に動作する場合があるので注意しなければならない。地絡電流Igが高圧配電線路側と需要設備側に分流する割合はC1とC2の比によって決まるものとしたとき,Igのうち需要設備の零相変流器で検出される電流の値[mA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,V=6600V,f=60Hz,C1=2.3μF,C2=0.02μFとする。
- 54
- 86 ✓ 正答
- 124
- 152
- 256
解説
需要設備側の零相変流器で検出される電流は、全地絡電流が需要設備側の静電容量比に応じて分流されることで決定され、与えられた定数を代入すると86mAとなります。
地絡電流の分流原理
中性点非接地方式の電路において地絡事故が発生すると、地絡電流は大地を介して流れます。この回路を電気的に捉えると、各相の対地静電容量が並列接続された形となり、線間電圧に起因する充電電流が流れる状態となります。
複数の対地静電容量が並列に存在する場合、地絡点から見た全回路の静電容量は、各部位の静電容量の和として表されます。このとき、回路全体に流れる地絡電流は、合成静電容量の大きさに比例します。零相変流器で検出される需要設備側の電流は、全体の地絡電流のうち、需要設備側が保持する静電容量の割合分だけが分流してくるものとして計算できます。これは電気回路における並列接続の分流の法則に基づく考え方です。
検出電流を求める手順
全地絡電流 の導出 非接地方式の三相3線式線路において、一線地絡事故時の全地絡電流 は、全対地静電容量を としたとき、 と表されます。
需要設備側の分流比の適用 問題文の条件より、地絡電流は全対地静電容量の比で分流します。需要設備側の静電容量 が全体の静電容量 に対して占める割合を考慮し、需要設備側を流れる電流 を求めます。
数値の代入による算出 与えられた値 、、 を式に代入します。 計算を進めると、 したがって、最も近い値は86mAとなります。
配電線路側と需要設備側に配置されたそれぞれの静電容量の大きさを図で見比べると、分流の比率が電流の検出結果にどう影響するかが鮮明に見えてきます。