第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問140
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令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問140 解説 問14 問14

設問図

問14 電線の導体に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 地中ケーブルの銅導体には,伸びや可とう性に優れる軟銅線が用いられる。
  2. (2) 電線の導電材料としての金属には,資源量の多さや導電率の高さが求められる。
  3. (3) 鋼心アルミより線は,鋼より線の周囲にアルミ線をより合わせたもので,軽量で大きな外径や高い引張強度を得ることができる。
  4. (4) 電気用アルミニウムの導電率は銅よりも低いが,電気抵抗と長さが同じ電線の場合,アルミニウム線の方が銅線より軽い。
  5. (5) 硬銅線は軟銅線と比較して曲げにくく,電線の導体として使われることはない。 ✓ 正答

解説

硬銅線は高い引張強度を持つため、架空送電線などの長距離を支える導体として広く用いられており、導体として使われることはないとする選択肢(5)の記述が誤りです。

銅導体の性質と使い分け

電気設備で導体として用いられる銅は、製造工程や処理の違いにより「軟銅線」と「硬銅線」に大きく分類されます。

軟銅線は、銅を焼きなまし(加熱してゆっくり冷却すること)して結晶を安定させたもので、非常に柔らかく、伸びや可とう性(折り曲げやすさ)に優れています。そのため、曲がりくねった配管内を通す地中ケーブルや、屋内の配線用電線として最適です。

一方、硬銅線は、焼きなましを行わずに冷間加工したもので、非常に高い引張強度を持っています。この強靭な特性により、自重や風圧、積雪といった大きな負荷がかかる架空送電線や配電線の導体として欠かせない存在です。

アルミニウムと銅の導電材料としての比較

導電材料の選定には、オームの法則および抵抗の定義式である R=ρ⋅LAR = \rho \cdot \frac{L}{A}(RR:抵抗、ρ\rho:抵抗率、LL:長さ、AA:断面積)が深く関わります。

アルミニウムは銅に比べて導電率(抵抗率の逆数)が低い金属です。同じ電気抵抗 RR と長さ LL を持つ電線を作る場合、アルミニウムは銅よりも断面積 AA を大きくする必要があります。しかし、アルミニウムは銅よりも密度が約3分の1と非常に軽いため、断面積を大きくして同等の導電性を確保したとしても、電線全体の質量は銅線よりも軽くなります。この性質により、重量制限がある架空送電線では、鋼心アルミより線(ACSR)のような構造をとることで、強度と軽量化を両立させています。

各選択肢の判断

  1. 軟銅線の特徴である可とう性は、柔軟性が求められる地中ケーブルの取り回しに適しています。
  2. 導電材料には、経済的に利用可能な資源量と、損失を低減するための高い導電率が重要です。
  3. 鋼心アルミより線は、中央の鋼線で強度を補強し、周囲のアルミニウム線で導電性を確保しており、架空送電線での主要な構成です。
  4. 前述の通り、アルミニウムの密度が低い利点を生かし、抵抗と長さを基準にした設計では銅より軽量化が可能です。
  5. 硬銅線は「硬い」という名前の通り機械的強度が高く、その特性は架空送電線の導体として積極的に活用されています。

送電線に求められる引張荷重と、導体が備える金属特性を重ねてみると、用途ごとの使い分けが見えてきます。

参考リンク

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