第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問162
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令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問162 解説 問16(b) 問16(b)

設問図

問16(b) 図のような系統において, 昇圧用変圧器の容量は30 MV・A, 変圧比は11 kV/33 kV, 百分率インピーダンスは自己容量基準で7.8 %, 計器用変流器(CT)の変流比は400 A/5 Aである。系統の点Fにおいて, 三相短絡事故が発生し, 1800 Aの短絡電流が流れたとき, ただし, CTの磁気飽和は考慮しないものとする。過電流継電器(OCR)を0.09 sで動作させるには, OCRの電流タップ値を何アンペアの位置に整定すればよいか, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, OCRのタイムレバー位置は3に整定されており, タイムレバー位置10における限時特性は図示のとおりである。

  1. 3.0 A
  2. 3.5 A
  3. 4.0 A
  4. 4.5 A ✓ 正答
  5. 5.0 A

解説

過電流継電器(OCR)の動作時間は、タイムレバー位置とタップ倍数によって決まり、与えられた事故電流と変流比から求まる二次電流に対し、動作時間を0.09秒にするために必要なタップ倍数を逆算することで、タップ値4.5 Aが導かれます。

計器用変流器と継電器の動作原理

過電流継電器は、系統に設置された計器用変流器(CT)を介して電流を監視し、あらかじめ設定した値(タップ値)を超える過大な電流が流れた際に動作する保護装置です。このとき、CTの一次側に流れる大電流は変流比(CT比)に従って縮小され、二次側電流として継電器に供給されます。

継電器の動作時間は、流れる電流がタップ値の何倍であるかを示す「タップ倍数」と、動作曲線の傾きを調整する「タイムレバー位置」の組み合わせで決定されます。一般に、タイムレバー位置による動作時間は比例関係にあるため、基準となるタイムレバー位置10での特性図を利用して他の位置における動作時間を換算します。

動作時間とタップ値の決定手順

事故時の電流値から適切なタップ値を求めるプロセスは、以下のステップで行います。

  1. 二次電流の算出 CTの一次側に流れる短絡電流が1800 A、CTの変流比が400 A/5 Aであるため、継電器に入力される二次電流 I2I_2 は以下の通りとなります。 I2=1800×5400=22.5 AI_2 = 1800 \times \frac{5}{400} = 22.5 \, \text{A}

  2. タイムレバー位置の換算 問題文で指定されたタイムレバー位置3における動作時間 0.09 s を、特性図として与えられているタイムレバー位置10における動作時間 t10t_{10} に換算します。タイムレバーは位置の値が小さいほど動作時間が短くなる設定であり、位置10と位置3の比率を用いて計算します。 t10=0.09×103=0.3 st_{10} = 0.09 \times \frac{10}{3} = 0.3 \, \text{s}

  3. タップ倍数の特定 タイムレバー位置10の特性図において、動作時間 0.3 s を探すと、横軸のタップ倍数は 5 倍であることが読み取れます。

  4. タップ値の決定 タップ倍数は「二次電流 / タップ値」という関係で定義されるため、得られたタップ倍数 5 を用いてタップ値を逆算します。 タップ値=I25=22.55=4.5 Aタップ値 = \frac{I_2}{5} = \frac{22.5}{5} = 4.5 \, \text{A}

継電器に流れる電流値の変化が、グラフ上の動作時間という垂直方向の目盛りにどう反映されるかを重ねてみると、整定すべき電流値が見えてきます。

参考リンク

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