令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問171 解説 問17(a) 問17
問17(a) 図1の端子a-d間の合成静電容量について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。端子b-c-d間は図2のようにΔ結線で接続されている。これを図3のようにY結線に変換したとき、電気的に等価となるコンデンサC[μF]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 1.0
- 2.0
- 4.5
- 6.0
- 9.0 ✓ 正答
解説
図2において各辺の静電容量がすべて で等しいΔ結線を、電気的に等価な図3のY結線に変換すると、各辺の静電容量 はΔ結線の3倍である となり、選択肢(5)が導かれます。
静電容量におけるデルタスター等価変換の法則
三相交流回路などでよく用いられる回路等価変換の手法として、デルタスター変換(Δ-Y変換)があります。この変換は、三角形に配置された3つの接続点(デルタ:Δ)と、中心から星型に3方向へ広がる接続点(スター:Y)の間で、端子から見た電気的な特性(インピーダンス)を変えずに回路を置き換える技術です。
電気主任技術者試験において、多くの受験生が最初に学ぶのは抵抗器のΔ-Y変換です。抵抗器の場合、各辺の抵抗値が等しい平衡状態において、Y結線の抵抗値はΔ結線の抵抗値の3分の1になります。しかし、コンデンサを用いた静電容量の変換では、この比率が逆になります。
コンデンサの交流に対する電流の通しにくさを表すインピーダンスは、角周波数を 、静電容量を とすると、 と表されます。インピーダンスの大きさは静電容量に反比例するため、回路としてのインピーダンスを等価に保つためには、静電容量の変換公式は抵抗の変換公式と逆の倍率関係を持つ必要があります。
具体的には、Δ結線の各辺の静電容量を 、等価変換したY結線の各辺の静電容量を とすると、各辺の容量がすべて等しい平衡状態では、以下の関係式が成り立ちます。
この関係により、インピーダンスとしては3分の1になり、静電容量としては3倍に増加します。抵抗の変換公式( )と混同しやすいため、インピーダンスと静電容量の反比例関係を意識することが重要です。
等価なY結線における静電容量の決定
図2のΔ結線における各辺の静電容量を確認すると、端子b-c間、c-d間、d-b間のすべての辺に のコンデンサが接続されており、等しい容量で平衡していることが分かります。
変換後の等価なY結線における各辺の静電容量 は、先ほどの静電容量の等価変換の公式である にあてはめて算出します。
与えられた数値である を公式に代入すると、 となります。
抵抗のΔ-Y変換公式と誤って混同し、3分の1にしてしまうと (選択肢(1))を選んでしまいますが、静電容量はインピーダンスと反比例するため、等価な回路では必ず容量が大きくなることを意識することで、この誤りを防ぐことができます。
図2のデルタの形状と、図3のスターの形状を重ね合わせて、端子から中心に向かって静電容量が変化するイメージを描いてみると、コンデンサの配置と値のつながりが見えてきます。