令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問172 解説 問17(b) 問17
問17(b) 図1の端子a-d間の合成静電容量について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。図3を用いて、図1の端子b-c-d間をY結線回路に変換したとき、図1の端子a-d間の合成静電容量C0[μF]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 3.0
- 4.5
- 4.8 ✓ 正答
- 6.0
- 9.0
解説
図1の端子b-c-d間にあるデルタ結線された3μFのコンデンサ群を、(a)の等価変換によって各枝が9μFとなるY結線回路に置き換え、これにa-b間の9μF、a-c間の18μF、およびY結線の中性点から端子dに至る各コンデンサの直並列関係を整理して合成容量を計算すると4.8μFになるため、選択肢は4.8が正答となります。
静電容量の直並列合成と等価変換の法則
複雑な接続を持つ回路の合成静電容量を求めるためには、コンデンサにおける「直並列合成の公式」と「デルタ-スター(-Y)等価変換」の理解が必要です。
静電容量の直並列合成
コンデンサの合成静電容量を求める公式は、抵抗の合成抵抗を求める公式とは「直列」と「並列」の関係が逆になります。
- 並列接続:それぞれのコンデンサの静電容量をそのまま足し合わせます。電極の面積が広がるイメージに対応するため、合成容量は大きくなります。
- 直列接続:抵抗の並列合成と同様に、逆数の和の逆数(いわゆる「和分の積」)で計算します。電極間の距離が遠くなるイメージに対応するため、合成容量は小さくなります。
デルタ-スター(-Y)等価変換
三角形の形状をした「デルタ結線」から、星型の形状をした「Y(スター)結線」への等価変換は、ブリッジ回路のような単純な直並列に分解できない回路を解きほぐすために有効です。
静電容量における変換公式は、抵抗における公式とは逆の倍率関係になります。デルタ結線の各辺を構成する静電容量がすべて等しい値 であるとき、これを等価なY結線に変換したときの各枝の静電容量 は、次の通り3倍の大きさになります。
これは、コンデンサが交流に対して持つ抵抗の役割(インピーダンス)が静電容量に反比例するためです。インピーダンスで考えると、等価変換によってインピーダンスの大きさは3分の1になりますが、静電容量そのものはその逆数に比例するため、3倍の大きさに変化します。
等価回路の構築と合成静電容量の算出
1. デルタ結線からY結線への置き換え
図1の右側にある端子b-c-d間は、一辺が3μFのデルタ結線になっています。これをY結線に等価変換すると、Y結線の各枝を構成するコンデンサの静電容量 は、3μFの3倍である 9μF になります。 この変換によって、端子b、端子c、端子dのそれぞれから 9μF のコンデンサが伸び、回路の内部で1つの中性点(これを n とします)に結合する等価回路へと形が変わります。
2. 端子aから中性点nに至る並列部分の合成
等価変換を終えた回路を、端子aから中性点nに向かって整理します。この区間は、端子bを経由する上側ルートと、端子cを経由する下側ルートの2つの並列な通り道に分かれています。
- 上側ルート(a b n):a-b間の 9μF と、Y結線のb側にある 9μF のコンデンサが直列に接続されています。この2つの合成容量 は直列合成の公式から求められます。
- 下側ルート(a c n):a-c間の 18μF と、Y結線のc側にある 9μF のコンデンサが直列に接続されています。この2つの合成容量 も同様に求められます。
上側ルートと下側ルートは並列に接続されているため、端子aから中性点nまでの部分的な合成容量 は、これら2つの値を足し合わせたものになります。
3. 中性点nから端子dまでの直列合成
最後に、中性点nから端子dの間には、Y結線のd側にある 9μF のコンデンサが接続されています。 したがって、端子a-d間の全体の合成静電容量 は、先ほど算出したa-n間の合成容量 10.5μF と、n-d間の 9μF が直列に繋がったものとして計算できます。
この計算により、選択肢の中で最も近い値である 4.8μF が得られます。
Y結線への等価変換によって現れた中性点という新たな合流点から、端子a側と端子d側へのそれぞれのつながり具合を図1の上に重ねてみると、複雑に絡み合っていた経路がシンプルな一本の通り道へと収束していく様子が見えてきます。