第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問10
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問10 解説 問1 問1

設問図

問1 次の文章は,直流機の構造に関する記述である。 直流機の構造は,固定子と回転子とからなる。固定子は,[(ア)],継鉄などによって,また,回転子は,[(イ)],整流子などによって構成されている。 電機子鉄心は,[(ウ)]磁束が通るため,[(エ)]が用いられている。また,電機子巻線を収めるための多数のスロットが設けられている。 六角形(亀甲形)の形状の電機子巻線は,そのコイル辺を電機子鉄心のスロットに挿入する。各コイル相互のつなぎ方には,[(オ)]と波巻とがある。直流機では,同じスロットにコイル辺を上下に重ねて2個ずつ入れた二層巻としている。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) (ア)界磁 (イ)電機子 (ウ)交番 (エ)積層鉄心 (オ)重ね巻 ✓ 正答
  2. (2) (ア)界磁 (イ)電機子 (ウ)交番 (エ)鋳鉄 (オ)直列巻
  3. (3) (ア)界磁 (イ)電機子 (ウ)一定の (エ)積層鉄心 (オ)直列巻
  4. (4) (ア)電機子 (イ)界磁 (ウ)交番 (エ)鋳鉄 (オ)重ね巻
  5. (5) (ア)電機子 (イ)界磁 (ウ)一定の (エ)積層鉄心 (オ)直列巻

解説

直流機は固定子に磁力線を生み出す界磁、回転子に起電力を生じさせる電機子を配置し、回転運動に伴い鉄心内をとおる交番磁束による渦電流損を積層鉄心によって抑制し、巻線接続法として重ね巻を採用しているため、正答は(1)となります。

直流機の基本構造と電磁誘導現象

直流機は、空間に磁界をつくる固定部分と、その磁界中で回転して機械的エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する回転部分から構成されます。

磁界を発生させる部分を界磁と呼び、磁束の通り道となる外枠の継鉄とともに固定子を構成します。一方で、磁界を横切って起電力を発生させる導体(電機子巻線)とそれを保持する鉄心を電機子と呼び、電流の向きを切り替える整流子とともに回転子を構成します。

回転する電機子鉄心に着目すると、鉄心の特定の位置は回転に伴ってN極の前とS極の前を交互に通過します。このため、鉄心内部を通過する磁束は時間とともに大きさだけでなく向きも周期的に変化する交番磁束となります。

導体や金属塊を貫く磁束が変化すると、ファラデーの電磁誘導の法則により、その磁束の変化を打ち消す方向へ起電力が生じます。電機子鉄心は導電性を持つ金属であるため、この誘導起電力によって鉄心内部に渦状の電流(渦電流)が流れます。この渦電流が鉄心の電気抵抗によって熱エネルギーとして消費される現象を渦電流損と呼び、ヒステリシス損と合わせて鉄損と総称されます。

渦電流損は磁束が変化する面の面積の2乗に比例して大きくなる性質があります。そのため、塊状の金属(鋳鉄など)をそのまま用いると甚大な熱損失が発生します。これを防ぐために、表面を絶縁コーティングした薄い珪素鋼板を磁束の方向に沿って多数貼り合わせた積層鉄心が用いられます。板で細かく分割することで渦電流の流れるループを小さく限定し、損失を著しく低減させています。

また、電機子スロットに収められるコイル相互の結線方法には、隣り合うコイル同士を順次つないでいく重ね巻と、磁極の周期に合わせて飛ばしながらつないでいく波巻の2種類が存在します。

直流機の構造と巻線方式の決定

  1. 固定子と回転子の基本要素から(ア)と(イ)を特定します。固定子側で磁界を形成する構成要素は界磁であるため(ア)には界磁が入ります。回転子側でエネルギー変換の主軸となる構成要素は電機子であるため(イ)には電機子が入ります。

  2. 回転に伴う磁束の挙動と鉄心構造から(ウ)と(エ)を特定します。回転する電機子鉄心内部の磁束はN極・S極を交互に受けるため交番磁束となり、(ウ)には交番が入ります。交番磁束によって生じるファラデーの電磁誘導の法則に基づく渦電流損を低減するため、鉄心には絶縁薄鋼板を重ねた積層鉄心が使用されるため(エ)には積層鉄心が入ります。鋳鉄は一体物の鋳物であり、大きな渦電流損を生じるため回転鉄心には不適です。

  3. コイルの結線方式から(オ)を特定します。二層巻において六角形コイル同士を連結する標準的な接続方式は重ね巻と波巻です。選択肢にある「直列巻」は巻線接続法ではなく励磁方式(直巻)に関する用語との混同を狙った誤りであるため、(オ)には重ね巻が入ります。

固定子の磁極と回転する電機子鉄心との位置関係を重ねてみると、鉄心内部を突き抜ける磁力線の向きが回転とともに目まぐるしく反転する様子が見えてきます。

参考リンク

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