第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問20
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問20 解説 問2 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問2

設問図

問2 界磁に永久磁石を用いた小形直流電動機があり,電源電圧は定格の 12 V,回転を始める前の静止状態における始動電流は 4 A,定格回転数における定格電流は 1 A である。定格運転時の効率の値 [%] として,最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。 ただし,ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとし,損失は電機子巻線による銅損しか存在しないものとする。

  1. 60
  2. 65
  3. 70
  4. 75 ✓ 正答
  5. 80

解説

静止状態における始動電流 4 A4\text{ A} から求まる電機子抵抗 3 Ω3\ \Omega により、定格運転時の入力電力 12 W12\text{ W} に対して電機子銅損が 3 W3\text{ W} と計算され、機械的出力が 9 W9\text{ W} となるため、定格運転時の効率は 75 %75\ \text{\%}(選択肢(4))となります。

直流電動機の電圧方程式と電力の平衡関係

直流電動機は、磁界中に置かれた電機子巻線に直流電流を流すことで回転力を得る電気機械です。

直流電動機の電気回路は、電源電圧 VV [V]、電機子電流 II [A]、電機子巻線の抵抗である電機子抵抗 RR [Ω\Omega]、および回転時に発生する逆起電力 EE [V] で構成されます。回路内の電圧の関係にキルヒホッフの第2法則を適用すると、次の電圧方程式が成り立ちます。

V=E+IRV = E + I R

ここで逆起電力 EE は、フレミングの右手の法則(電磁誘導の法則)に基づき、磁界中を電機子導体が回転しながら横切ることで発生する電圧です。逆起電力の大きさは回転速度に比例するため、回転を始める前の静止状態(回転速度が 00)では、逆起電力は E=0 VE = 0\text{ V} になります。

回転していない静止状態で電源電圧を印加したときに流れる電流が始動電流 IsI_s [A] です。静止時は逆起電力による電流の制限作用が働かないため、オームの法則により電流は電機子抵抗 RR のみで制限され、Is=V/RI_s = V / R と表されます。

電動機が回転している定格運転時において、電源から供給される全電力(入力電力)PinP_{in} [W] は、電源電圧と定格電流の積 Pin=VIP_{in} = V I で定まります。上記の電圧方程式の両辺に電流 II を乗じると、次のような電力の平衡式が得られます。

VI=EI+I2RV I = E I + I^2 R

この式は、入力された電気エネルギー VIV I が、機械的な力に変換される出力 EIE I と、巻線の抵抗によって熱として失われる電機子銅損 Pc=I2RP_c = I^2 R [W] の二つに分解されることを示しています。

電動機の効率 η\eta [%\%] は、入力電力 PinP_{in} に対する機械的出力 PoutP_{out} [W] の比率で定義されます。本問のように損失が電機子巻線による銅損のみとみなせる場合、出力電力は Pout=Pin−PcP_{out} = P_{in} - P_c と表され、効率の算出式は以下のようになります。

η=PoutPin×100=Pin−PcPin×100\eta = \frac{P_{out}}{P_{in}} \times 100 = \frac{P_{in} - P_c}{P_{in}} \times 100

電機子抵抗の算出と定格運転時効率の算定

  1. 回転を始める前の静止状態における電源電圧 V=12 VV = 12\text{ V} と始動電流 Is=4 AI_s = 4\text{ A} の関係から、電機子抵抗 RR を求める。静止状態では逆起電力 E=0 VE = 0\text{ V} であるため、オームの法則から抵抗値は R=V/Is=12/4=3 ΩR = V / I_s = 12 / 4 = 3\ \Omega と算出される。

  2. 定格運転時における入力電力 PinP_{in} を計算する。電源電圧 V=12 VV = 12\text{ V} および定格電流 I=1 AI = 1\text{ A} の積から、入力電力は Pin=V×I=12×1=12 WP_{in} = V \times I = 12 \times 1 = 12\text{ W} となる。

  3. 定格運転時に電機子巻線で消費される銅損 PcP_c を求める。特定した電機子抵抗 R=3 ΩR = 3\ \Omega と定格電流 I=1 AI = 1\text{ A} から、銅損は Pc=I2R=12×3=3 WP_c = I^2 R = 1^2 \times 3 = 3\text{ W} となる。

  4. 損失が銅損のみである条件のもとで、定格運転時の機械的出力 PoutP_{out} と効率 η\eta を計算する。出力電力は Pout=Pin−Pc=12−3=9 WP_{out} = P_{in} - P_c = 12 - 3 = 9\text{ W} となり、効率は η=(Pout/Pin)×100=(9/12)×100=75 %\eta = (P_{out} / P_{in}) \times 100 = (9 / 12) \times 100 = 75\ \text{\%} と求められる。

電源電圧 12 V12\text{ V} に対して静止時に流れる 4 A4\text{ A} の始動電流と、定格回転時に流れる 1 A1\text{ A} の定格電流の差に目を向けてみると、内部で消費される銅損と外部へ取り出される機械エネルギーの比率関係が浮かび上がってきます。

参考リンク

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