第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問110
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問110 解説 問11 問11

設問図

問11 図に示すように, 電動機が減速機と組み合わされて負荷を駆動している。このときの電動機の回転速度 n_m が 1150 min^-1, トルク T_m が 100 N・m であった。減速機の減速比が 8, 効率が 0.95 のとき, 負荷の回転速度 n_L [min^-1], 軸トルク T_L [N・m] 及び軸入力 P_L [kW] の値として, 最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。

  1. 136.6, 11.9, 11.4
  2. 143.8, 760, 11.4 ✓ 正答
  3. 9200, 760, 6992
  4. 143.8, 11.9, 11.4
  5. 9200, 11.9, 6992

解説

電動機の回転速度 1150 min−11150 \text{ min}^{-1} とトルク 100 N⋅m100 \text{ N}\cdot\text{m} が、減速比 88 と効率 0.950.95 の減速機を介して負荷に伝達されるとき、負荷の回転速度は 143.8 min−1143.8 \text{ min}^{-1}、軸トルクは 760 N⋅m760 \text{ N}\cdot\text{m}、軸入力は 11.4 kW11.4 \text{ kW} となるため、選択肢「143.8, 760, 11.4」が最も近い組み合わせです。この問題は、減速機による回転速度とトルクの変換、そして動力伝達における効率の概念を理解していれば解くことができます。

減速機による動力伝達の原理と効率

機械システムにおいて、電動機などの原動機の回転を、求められる回転速度やトルクに変換するために減速機が用いられます。減速機は、その名の通り回転速度を減少させる装置ですが、同時にトルクを増大させる役割も持っています。

減速比の原理

減速比とは、減速機の入力軸の回転速度に対する出力軸の回転速度の比の逆数、あるいは入力軸の歯数に対する出力軸の歯数の比で定義されます。この問題では減速比が 88 と与えられているため、電動機(入力側)の回転速度が減速機によって 1/81/8 に減少して負荷(出力側)に伝達されます。 理想的な減速機(効率100%)であれば、入力動力と出力動力は等しくなります。動力は回転速度とトルクの積に比例するため、回転速度が減速比の分だけ減少すれば、トルクは減速比の分だけ増大します。 (理想的なトルク)=(入力トルク)×(減速比)\text{(理想的なトルク)} = \text{(入力トルク)} \times \text{(減速比)}

減速機の効率

しかし、現実の減速機には歯車の摩擦や軸受けの損失などがあり、必ずエネルギー損失が発生します。この損失のために、出力される動力は入力される動力よりも小さくなります。この動力の損失割合を考慮したものが「効率」です。効率 η\eta は、出力動力 PoutP_{out} を入力動力 PinP_{in} で割った値として表され、通常 00 から 11 の間の値(または 0%0\% から 100%100\%)をとります。 Pout=Pin×ηP_{out} = P_{in} \times \eta したがって、出力側のトルクを計算する際には、理想的なトルクに効率を掛ける必要があります。これは、動力の定義 P=2πnTP = 2\pi n T と nL=nm/(減速比)n_L = n_m / \text{(減速比)} を用いて次のように導かれます。 2πnLTL=(2πnmTm)×η2\pi n_L T_L = (2\pi n_m T_m) \times \eta TL=nmnLTm×ηT_L = \frac{n_m}{n_L} T_m \times \eta TL=減速比×Tm×ηT_L = \text{減速比} \times T_m \times \eta つまり、負荷の軸トルクは次のように求められます。 (実際の出力トルク)=(入力トルク)×(減速比)×(効率)\text{(実際の出力トルク)} = \text{(入力トルク)} \times \text{(減速比)} \times \text{(効率)}

動力の計算式

軸入力(動力)PP は、回転速度 nn とトルク TT を用いて計算されます。 P=2πnTP = 2\pi n T ただし、この式は回転速度 nn が [rad/s][\text{rad/s}]、トルク TT が [N⋅m][\text{N}\cdot\text{m}] の場合の動力 [W][\text{W}] を与えます。 この問題では回転速度が [min−1][\text{min}^{-1}] で与えられているため、単位を合わせて計算する必要があります。 1 min=60 s1 \text{ min} = 60 \text{ s} なので、n [min−1]n \text{ [min}^{-1}] を [rev/s][\text{rev/s}] に変換するには n/60n/60 となります。さらに [rad/s][\text{rad/s}] に変換するには 2π2\pi を掛けるため、n [min−1]n \text{ [min}^{-1}] は 2πn/60 [rad/s]2\pi n/60 \text{ [rad/s]} となります。 したがって、動力 PP [W][\text{W}] は、 P=T×2πn60=2πnT60P = T \times \frac{2\pi n}{60} = \frac{2\pi n T}{60} 問題では軸入力が [kW][\text{kW}] で求められているため、上記 PP の値を 10001000 で割る必要があります。 P [kW]=2πnT60×1000=2πnT60000P \text{ [kW]} = \frac{2\pi n T}{60 \times 1000} = \frac{2\pi n T}{60000} この式を適用することで、負荷の軸入力を求めることができます。

負荷の回転速度、軸トルク、軸入力の計算

設問で与えられた数値と上記の原理・計算式を用いて、負荷側の値を順に計算します。

  1. 負荷の回転速度 nLn_L の計算 電動機の回転速度 nm=1150 min−1n_m = 1150 \text{ min}^{-1}、減速比 =8= 8 です。 減速機により回転速度は減速比分だけ減少するため、負荷の回転速度 nLn_L は次のようになります。 nL=nm減速比=1150 min−18=143.75 min−1n_L = \frac{n_m}{\text{減速比}} = \frac{1150 \text{ min}^{-1}}{8} = 143.75 \text{ min}^{-1} 選択肢の値に合わせると、143.8 min−1143.8 \text{ min}^{-1} となります。

  2. 負荷の軸トルク TLT_L の計算 電動機のトルク Tm=100 N⋅mT_m = 100 \text{ N}\cdot\text{m}、減速比 =8= 8、効率 η=0.95\eta = 0.95 です。 減速機は回転速度を減らす代わりにトルクを増大させますが、効率の分だけ損失があるため、負荷の軸トルク TLT_L は次のようになります。 TL=Tm×減速比×η=100 N⋅m×8×0.95=760 N⋅mT_L = T_m \times \text{減速比} \times \eta = 100 \text{ N}\cdot\text{m} \times 8 \times 0.95 = 760 \text{ N}\cdot\text{m}

  3. 負荷の軸入力 PLP_L の計算 負荷の回転速度 nL=143.75 min−1n_L = 143.75 \text{ min}^{-1}、負荷の軸トルク TL=760 N⋅mT_L = 760 \text{ N}\cdot\text{m} です。 軸入力 PLP_L [kW][\text{kW}] を求めるには、上記の動力の計算式に値を代入します。 PL [kW]=2πnLTL60000=2π×143.75 min−1×760 N⋅m60000P_L \text{ [kW]} = \frac{2\pi n_L T_L}{60000} = \frac{2\pi \times 143.75 \text{ min}^{-1} \times 760 \text{ N}\cdot\text{m}}{60000} PL [kW]≈6.283185×143.75×76060000≈686861.960000≈11.447 kWP_L \text{ [kW]} \approx \frac{6.283185 \times 143.75 \times 760}{60000} \approx \frac{686861.9}{60000} \approx 11.447 \text{ kW} 選択肢の値に合わせると、11.4 kW11.4 \text{ kW} となります。

以上の計算から、負荷の回転速度 nLn_L は 143.8 min−1143.8 \text{ min}^{-1}、軸トルク TLT_L は 760 N⋅m760 \text{ N}\cdot\text{m}、軸入力 PLP_L は 11.4 kW11.4 \text{ kW} となり、これらが組み合わされた選択肢が正解です。

図で示された電動機から減速機、そして負荷へと力が伝わる経路をたどりながら、回転速度が減少し、トルクが増大し、その過程で一部の動力が熱となって失われる様子を重ねてみると、これらの数値の関係がより深く見えてきます。

参考リンク

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