電動機の回転速度 1150 min−1 とトルク 100 N⋅m が、減速比 8 と効率 0.95 の減速機を介して負荷に伝達されるとき、負荷の回転速度は 143.8 min−1、軸トルクは 760 N⋅m、軸入力は 11.4 kW となるため、選択肢「143.8, 760, 11.4」が最も近い組み合わせです。この問題は、減速機による回転速度とトルクの変換、そして動力伝達における効率の概念を理解していれば解くことができます。
減速機による動力伝達の原理と効率
機械システムにおいて、電動機などの原動機の回転を、求められる回転速度やトルクに変換するために減速機が用いられます。減速機は、その名の通り回転速度を減少させる装置ですが、同時にトルクを増大させる役割も持っています。
減速比の原理
減速比とは、減速機の入力軸の回転速度に対する出力軸の回転速度の比の逆数、あるいは入力軸の歯数に対する出力軸の歯数の比で定義されます。この問題では減速比が 8 と与えられているため、電動機(入力側)の回転速度が減速機によって 1/8 に減少して負荷(出力側)に伝達されます。
理想的な減速機(効率100%)であれば、入力動力と出力動力は等しくなります。動力は回転速度とトルクの積に比例するため、回転速度が減速比の分だけ減少すれば、トルクは減速比の分だけ増大します。
(理想的なトルク)=(入力トルク)×(減速比)
減速機の効率
しかし、現実の減速機には歯車の摩擦や軸受けの損失などがあり、必ずエネルギー損失が発生します。この損失のために、出力される動力は入力される動力よりも小さくなります。この動力の損失割合を考慮したものが「効率」です。効率 η は、出力動力 Pout を入力動力 Pin で割った値として表され、通常 0 から 1 の間の値(または 0% から 100%)をとります。
Pout=Pin×η
したがって、出力側のトルクを計算する際には、理想的なトルクに効率を掛ける必要があります。これは、動力の定義 P=2πnT と nL=nm/(減速比) を用いて次のように導かれます。
2πnLTL=(2πnmTm)×η
TL=nLnmTm×η
TL=減速比×Tm×η
つまり、負荷の軸トルクは次のように求められます。
(実際の出力トルク)=(入力トルク)×(減速比)×(効率)
動力の計算式
軸入力(動力)P は、回転速度 n とトルク T を用いて計算されます。
P=2πnT
ただし、この式は回転速度 n が [rad/s]、トルク T が [N⋅m] の場合の動力 [W] を与えます。
この問題では回転速度が [min−1] で与えられているため、単位を合わせて計算する必要があります。
1 min=60 s なので、n [min−1] を [rev/s] に変換するには n/60 となります。さらに [rad/s] に変換するには 2π を掛けるため、n [min−1] は 2πn/60 [rad/s] となります。
したがって、動力 P [W] は、
P=T×602πn=602πnT
問題では軸入力が [kW] で求められているため、上記 P の値を 1000 で割る必要があります。
P [kW]=60×10002πnT=600002πnT
この式を適用することで、負荷の軸入力を求めることができます。
負荷の回転速度、軸トルク、軸入力の計算
設問で与えられた数値と上記の原理・計算式を用いて、負荷側の値を順に計算します。
負荷の回転速度 nL の計算
電動機の回転速度 nm=1150 min−1、減速比 =8 です。
減速機により回転速度は減速比分だけ減少するため、負荷の回転速度 nL は次のようになります。
nL=減速比nm=81150 min−1=143.75 min−1
選択肢の値に合わせると、143.8 min−1 となります。
負荷の軸トルク TL の計算
電動機のトルク Tm=100 N⋅m、減速比 =8、効率 η=0.95 です。
減速機は回転速度を減らす代わりにトルクを増大させますが、効率の分だけ損失があるため、負荷の軸トルク TL は次のようになります。
TL=Tm×減速比×η=100 N⋅m×8×0.95=760 N⋅m
負荷の軸入力 PL の計算
負荷の回転速度 nL=143.75 min−1、負荷の軸トルク TL=760 N⋅m です。
軸入力 PL [kW] を求めるには、上記の動力の計算式に値を代入します。
PL [kW]=600002πnLTL=600002π×143.75 min−1×760 N⋅m
PL [kW]≈600006.283185×143.75×760≈60000686861.9≈11.447 kW
選択肢の値に合わせると、11.4 kW となります。
以上の計算から、負荷の回転速度 nL は 143.8 min−1、軸トルク TL は 760 N⋅m、軸入力 PL は 11.4 kW となり、これらが組み合わされた選択肢が正解です。
図で示された電動機から減速機、そして負荷へと力が伝わる経路をたどりながら、回転速度が減少し、トルクが増大し、その過程で一部の動力が熱となって失われる様子を重ねてみると、これらの数値の関係がより深く見えてきます。
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