第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問130
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問130 解説 問13 問 13

設問図

問13 図 1 に示す R-L 回路において,端子 a,a' 間に単位階段状のステップ電圧 v(t) [V] を加えたとき,抵抗 R [Ω] に流れる電流を i(t) [A] とすると,i(t) は図 2 のようになった。この回路の R [Ω],L [H] の値及び入力を a,a' 間の電圧とし,出力を R [Ω] に流れる電流としたときの周波数伝達関数 G(jω) の式として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. R=10 [Ω], L=0.1 [H], G(jω) = 0.1 / (1 + j0.01ω) ✓ 正答
  2. R=10 [Ω], L=1 [H], G(jω) = 1 / (1 + j0.1ω)
  3. R=100 [Ω], L=0.01 [H], G(jω) = 1 / (10 + j0.01ω)
  4. R=10 [Ω], L=0.1 [H], G(jω) = 1 / (10 + j0.01ω)
  5. R=100 [Ω], L=0.01 [H], G(jω) = 1 / (100 + j0.01ω)

解説

図2の電流応答が定常状態に達した電流値と、電流が最終値の約63.2%に達する時間である時定数から抵抗RRとインダクタンスLLの値を特定し、これらを用いて求めた周波数伝達関数G(jω)G(j\omega)が選択肢(1)のR=10 [Ω]R=10 \ [\Omega], L=0.1 [H]L=0.1 \ [\text{H}], G(jω)=0.1/(1+j0.01ω)G(j\omega) = 0.1 / (1 + j0.01\omega)と一致します。

R-L直列回路の特性

R-L直列回路は、抵抗RとインダクタンスLが直列に接続された回路です。この回路に直流電圧を加えると、インダクタンスの性質により電流はすぐに定常状態にならず、時間とともにゆっくりと増加していきます。この電流の変化の様子は過渡応答と呼ばれ、最終的に安定するまでの振る舞いは時定数によって特徴づけられます。

  • 定常状態の電流: 直流電圧を加えた状態で十分に時間が経過すると、インダクタは「短絡」(抵抗がゼロの導線)とみなせるため、回路全体の抵抗はRのみとなり、電流はオームの法則に従ってI=V/RI = V/Rで決まります。
  • 時定数 τ\tau: R-L直列回路の時定数τ\tauは、L/RL/Rで定義されます。これは、電流が最終値の約63.2%((1−e−1)(1-e^{-1})倍)に達するまでの時間を示します。時定数が小さいほど、電流は速く最終値に達します。

周波数伝達関数

周波数伝達関数G(jω)G(j\omega)は、線形システムの入出力関係を周波数領域で表すものです。この問題では、入力が端子a, a'間の電圧V(jω)V(j\omega)、出力が抵抗Rに流れる電流I(jω)I(j\omega)であるため、G(jω)=I(jω)/V(jω)G(j\omega) = I(j\omega) / V(j\omega)として定義されます。 交流回路において、抵抗RのインピーダンスはR、インダクタンスLのインピーダンスはjωLj\omega Lで表されるため、R-L直列回路全体のインピーダンスZ(jω)Z(j\omega)はR+jωLR + j\omega Lとなります。これにより、オームの法則を用いて電流と電圧の関係を導き出すことができます。

R, L, G(jω)の特定

設問の条件と図1、図2に基づいて、抵抗RR、インダクタンスLL、および周波数伝達関数G(jω)G(j\omega)を特定する手順は以下の通りです。

  1. 抵抗RRの特定 図2の電流応答曲線を見ると、時間が十分に経過した定常状態において、抵抗RRに流れる電流i(t)i(t)は0.1 A0.1 \ \text{A}となっています。入力電圧v(t)v(t)は図1より単位階段状のステップ電圧で1 V1 \ \text{V}です。 R-L直列回路の直流定常状態では、インダクタは短絡とみなせるため、回路の全インピーダンスは抵抗RRのみとなります。したがって、オームの法則によりi(∞)=v/Ri(\infty) = v / Rが成り立ちます。 0.1 A=1 V/R0.1 \ \text{A} = 1 \ \text{V} / R この式を解くと、R=1 V/0.1 A=10 [Ω]R = 1 \ \text{V} / 0.1 \ \text{A} = 10 \ [\Omega]となります。

  2. 時定数τ\tauの特定 時定数τ\tauは、電流が最終値i(∞)i(\infty)の約63.2%に達する時間です。 最終値は0.1 A0.1 \ \text{A}なので、その63.2%は 0.1 A×0.632=0.0632 A0.1 \ \text{A} \times 0.632 = 0.0632 \ \text{A} 図2の電流応答曲線を見ると、電流が約0.063 A0.063 \ \text{A}になるのは、t=0.01 st=0.01 \ \text{s}の時点であることが読み取れます。 したがって、時定数τ=0.01 s\tau = 0.01 \ \text{s}です。

  3. インダクタンスLLの特定 R-L直列回路の時定数τ\tauはL/RL/Rで与えられます。 ステップ1で求めたR=10 [Ω]R=10 \ [\Omega]と、ステップ2で求めたτ=0.01 s\tau=0.01 \ \text{s}をこの式に代入します。 0.01 s=L/10 [Ω]0.01 \ \text{s} = L / 10 \ [\Omega] この式を解くと、L=0.01 s×10 [Ω]=0.1 [H]L = 0.01 \ \text{s} \times 10 \ [\Omega] = 0.1 \ [\text{H}]となります。

  4. 周波数伝達関数G(jω)G(j\omega)の導出と整理 R-L直列回路における入力電圧V(jω)V(j\omega)に対するインピーダンスは、Z(jω)=R+jωLZ(j\omega) = R + j\omega Lです。 抵抗Rに流れる電流I(jω)I(j\omega)は、オームの法則によりI(jω)=V(jω)/Z(jω)=V(jω)/(R+jωL)I(j\omega) = V(j\omega) / Z(j\omega) = V(j\omega) / (R + j\omega L)となります。 周波数伝達関数G(jω)G(j\omega)は、出力(電流I(jω)I(j\omega))と入力(電圧V(jω)V(j\omega))の比なので、 G(jω)=I(jω)/V(jω)=1/(R+jωL)G(j\omega) = I(j\omega) / V(j\omega) = 1 / (R + j\omega L) ステップ1と3で求めたR=10 [Ω]R=10 \ [\Omega]とL=0.1 [H]L=0.1 \ [\text{H}]を代入します。 G(jω)=1/(10+jω×0.1)=1/(10+j0.1ω)G(j\omega) = 1 / (10 + j\omega \times 0.1) = 1 / (10 + j0.1\omega) この式を選択肢の形式に合わせるため、分母分子を1010で割ります。 G(jω)=(1/10)/(10/10+j0.1ω/10)=0.1/(1+j0.01ω)G(j\omega) = (1/10) / (10/10 + j0.1\omega/10) = 0.1 / (1 + j0.01\omega) この結果は、R=10 [Ω]10 \ [\Omega]、L=0.1 [H]0.1 \ [\text{H}]、G(jω) = 0.1/(1+j0.01ω)0.1 / (1 + j0.01\omega)である選択肢(1)と完全に一致します。

図2のステップ応答曲線における電流の最終値と、立ち上がりの速さを示す時定数に着目すると、R-L直列回路の特性が明確に見えてきます。

参考リンク

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