令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問151 解説 問15(a) 単相単巻変圧器の直列巻線電流
問15(a) 問 15 定格一次電圧 3 000 V, 定格二次電圧が 3 300 V の単相単巻変圧器について, 次の (a) 及び (b) の問に答えよ。なお。巻線のインピーダンス, 鉄損は無視できるものとする。 この単相単巻変圧器の二次側に負荷を接続したところ, 一次電圧は 3 000 V, 一次電流は 100 A であった。この変圧器の直列巻線に流れる電流値[A]として, 最も近いものを次の (1)~(5) のうちから一つ選べ。
- 9.09
- 10.0
- 30.9
- 90.9 ✓ 正答
- 110
解説
定格一次電圧3 000 V、定格二次電圧3 300 V、一次電流100 Aの単相単巻変圧器において、巻線のインピーダンスと鉄損が無視できる理想的な条件下では、一次側と二次側の皮相電力が等しいという電力不変の法則が成り立ちます。これにより二次電流を求めると、昇圧単巻変圧器の直列巻線にはその二次電流がそのまま流れるため、直列巻線に流れる電流は90.9 Aとなります。
単相単巻変圧器の基本構造と電流の関係
単相単巻変圧器は、一般的な二巻線変圧器とは異なり、一次巻線と二次巻線の一部を共通で利用する構造を持っています。この共通の巻線を「共通巻線(または分路巻線)」、共通巻線と直列に接続される巻線を「直列巻線」と呼びます。
この問題のように一次電圧(3000 V)よりも二次電圧(3300 V)が高い「昇圧」の単巻変圧器の場合、電流の流れは以下のようになります。
- 一次側: 一次電圧が共通巻線の両端に印加され、一次電流が共通巻線に流入します。
- 二次側: 二次電圧は共通巻線と直列巻線の両端に現れます。二次側に流れる電流は、直列巻線を通って負荷へと供給されます。
- 直列巻線: 昇圧単巻変圧器では、二次側の負荷に流れる電流が、直列巻線を直接通過します。したがって、直列巻線に流れる電流は二次電流に等しくなります。
理想変圧器における電力不変の法則
変圧器の巻線インピーダンスや鉄損が無視できるという条件は、「損失がない理想的な変圧器」として扱うことを意味します。この理想的な変圧器において重要なのが「電力不変の法則」です。
電力不変の法則とは、一次側から変圧器に供給される電力と、二次側から負荷へ供給される電力とが等しいという原則です。
- 一次側皮相電力 : 一次電圧 と一次電流 の積で表されます ()。
- 二次側皮相電力 : 二次電圧 と二次電流 の積で表されます ()。
- 損失がないため、これらの電力は等しくなります。
問題文には力率に関する記述がないため、皮相電力(VA)を用いて計算を進めるのが適切です。
設問における直列巻線電流の計算
上記の法則と単巻変圧器の構造に基づき、直列巻線に流れる電流値を以下のステップで求めます。
一次側皮相電力 を計算します。 問題文より、一次電圧 V、一次電流 A です。 皮相電力 。
二次側皮相電力 を決定します。 「巻線のインピーダンス、鉄損は無視できるものとする」という条件から、変圧器に損失はありません。したがって、電力不変の法則により、一次側皮相電力と二次側皮相電力は等しくなります。 。
二次電流 を計算します。 問題文より、定格二次電圧(および現在の二次電圧) V です。 二次電流 。
直列巻線に流れる電流を特定します。 この変圧器は定格一次電圧3 000 Vから定格二次電圧3 300 Vへと電圧を昇圧する単巻変圧器です。昇圧単巻変圧器の構造上、二次電流 がそのまま直列巻線に流れます。 したがって、直列巻線に流れる電流値は となります。 選択肢の中で最も近い値は (4) 90.9 です。
変圧器の損失が無視できる理想的な条件において、一次側と二次側の電力関係、そして単巻変圧器の巻線構成に流れる電流の流れ方を確認すると、直列巻線に流れる電流の値が見えてきます。