第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問140
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問140 解説 問14 問 14

設問図

問14 アモルファス鉄心材料を使用した柱上変圧器の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. けい素鋼帯を使用した同容量の変圧器に比べて、鉄損が大幅に少ない。
  2. アモルファス鉄心材料は結晶構造である。 ✓ 正答
  3. アモルファス鉄心材料は高硬度で、加工性があまり良くない。
  4. アモルファス鉄心材料は比較的高価である。
  5. けい素鋼帯を使用した同容量の変圧器に比べて、磁束密度が高くできないので、大形になる。

解説

アモルファス鉄心材料は、原子が規則正しく並んだ結晶構造ではなく、原子が不規則に並んだ非晶質の構造を持つ材料であるため、選択肢(2)の「アモルファス鉄心材料は結晶構造である」という記述は誤りです。

アモルファス金属の性質

アモルファス(Amorphous)とは、ギリシャ語で「無定形」を意味する言葉です。通常の金属材料は、加熱後に冷却する過程で原子が一定の規則に従って並ぶ「結晶構造」を作ります。これに対して、アモルファス金属は溶融状態の金属を極めて速い速度で急冷することで、原子が規則的な並び(結晶格子)を作る隙を与えずに固化させたものです。

この非晶質な構造は、材料内部における磁区の動きを妨げる障壁が少ないことを意味します。磁性材料において鉄損(ヒステリシス損と渦電流損の合計)を小さくするためには、磁化のしやすさ、すなわち高い透磁率と低い保持力が必要ですが、結晶の境界(結晶粒界)が存在しないアモルファス材料は、磁化の回転や移動が極めてスムーズに行われます。その結果、従来のけい素鋼帯に比べてヒステリシス損が大幅に低減され、結果として鉄損が非常に少ないという特性が得られます。

アモルファス変圧器の特徴と判断

アモルファス鉄心を使用した変圧器には、非晶質構造ゆえの物理的な特性と製造上の制約が存在します。以下のステップで各選択肢を確認します。

  1. 鉄損の低減を確認する。アモルファス材料は薄いリボン状で製作され、磁気特性に優れているため、従来のけい素鋼帯と比較して鉄損を大幅に小さくすることが可能です。これは選択肢(1)の記述が正しいことを示します。
  2. 内部構造を特定する。材料の定義上、アモルファスは「非晶質」であり「結晶構造ではない」ため、選択肢(2)の記述が事実と反していると判断します。
  3. 物理的性質と加工性を把握する。アモルファス合金は非常に硬く脆いため、けい素鋼帯のように複雑な形状に加工したり、打ち抜いたりすることが困難です。この性質が加工性の悪さや製造コストの高騰(選択肢(4))に直結します。
  4. 磁束密度の制限を確認する。アモルファス材料は、けい素鋼帯と比較すると飽和磁束密度が低く、あまり高い磁束密度で使用することができません。そのため、同容量を確保しようとすると鉄心を大きく設計する必要があり、選択肢(5)の記述が正しいと判断します。

アモルファスという名称そのものが持つ「非晶質」という言葉の響きと、変圧器内部で規則正しく並ぶ原子の姿を重ねてみると、材料の本質的な構造が見えてきます。

参考リンク

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