令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問30 解説 問3 問3
問3 次の文章は, 火力発電所に関する記述である。火力発電所において, ボイラから煙道に出ていく燃焼ガスの余熱を回収するために, 煙道に多数の管を配置し, これにボイラへの (ア) を通過させて加熱する装置が (イ) である。同じく煙道に出ていく燃焼ガスの余熱をボイラへの (ウ) 空気に回収する装置が, (エ) である。上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 給水 再熱器 燃焼用 過熱器
- (2) 蒸気 節炭器 加熱用 過熱器
- (3) 給水 節炭器 加熱用 過熱器
- (4) 蒸気 再熱器 燃焼用 空気予熱器
- (5) 給水 節炭器 燃焼用 空気予熱器 ✓ 正答
解説
火力発電所の煙道において、排出される高温の燃焼ガスの余熱を回収するために、ボイラへの「給水」を加熱する装置が「節炭器」であり、同様に「燃焼用」空気を加熱する装置が「空気予熱器」であるため、正答は(5)となります。
ボイラにおける熱回収の仕組み
火力発電所のボイラでは、燃料を燃焼させて高温のガスを発生させ、その熱を水に伝えて蒸気を作ります。しかし、燃焼を終えたガスは依然として高温のまま煙突から排出されるため、そのまま捨てるのは熱エネルギーの大きな損失となります。そこで、煙道に熱交換器を設置し、まだ利用可能な余熱を回収することでボイラ全体の効率を高める工夫がなされています。
余熱回収装置の役割と配置
ボイラの熱効率を向上させるための代表的な装置には、以下の二つがあります。
節炭器(エコノマイザ) ボイラ本体へ送る前の「給水」を、燃焼ガスの余熱で予熱する装置です。給水の温度をあらかじめ高めておくことで、ボイラ内部で蒸気を発生させるために必要な燃料を節約できることから「節炭」器と呼ばれます。通常、水側の流れにおいて、この節炭器はボイラ本体(蒸発管)の前段に配置されます。
空気予熱器 燃焼に必要な空気を、燃焼ガスの余熱によって加熱する装置です。空気を高温にしてから炉内に送り込むことで、燃焼温度を上昇させ、燃焼効率を改善する役割があります。これは、煙道の最終段階(煙突の手前)に配置され、排ガスから最後の熱を取り出す重要な装置です。
誤答となる装置との違い
選択肢に含まれる「過熱器」や「再熱器」は、いずれもボイラの蒸気系統に関わる装置ですが、その役割は余熱の回収ではありません。過熱器は発生した蒸気をさらに加熱して「過熱蒸気」にする装置であり、再熱器は一度タービンで仕事を終えて圧力が下がった蒸気を再び加熱する装置です。これらはボイラ内部の高温領域に配置され、排ガスの熱を回収するのではなく、燃料を燃焼させた直接の熱エネルギーを蒸気側に与える役割を担っています。
煙道の経路を追うように、給水を温める節炭器から燃焼用空気を温める空気予熱器まで、排ガスの温度が下がる流れを重ねてみると、エネルギーの有効利用が見えてきます。