令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問182 解説 問18(b) 問18
問18(b) 次の文章は、直線検波回路に関する記述である。振幅変調した変調波の電圧を、図2の復調回路に入力して復調したい。コンデンサC[F]と抵抗R[Ω]を並列接続した合成インピーダンスの両端電圧に求められることは、信号波の成分が(ア)ことと、搬送波の成分が(イ)ことである。そこで、合成インピーダンスの大きさは、信号波の周波数に対してほぼ抵抗R[Ω]となり、搬送波の周波数に対して十分に(ウ)なくてはならない。上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (ア)ある (イ)なくなる (ウ)大きく
- (ア)ある (イ)なくなる (ウ)小さく ✓ 正答
- (ア)なくなる (イ)ある (ウ)小さく
- (ア)なくなる (イ)なくなる (ウ)小さく
- (ア)なくなる (イ)ある (ウ)大きく
解説
直線検波回路では、整流後の電圧から信号波を取り出すために、信号波成分を保持しつつ、不要な搬送波成分をコンデンサによってバイパスして除去する働きが必要となるため、正答は(ア)ある、(イ)なくなる、(ウ)小さくとなります。
直線検波の仕組みと役割
直線検波回路は、振幅変調された高周波の変調波から、元の低周波の信号波を取り出すための回路です。図2に示すように、ダイオードによる整流器の後に、コンデンサ と抵抗 を並列に接続した回路が配置されています。
この回路の目的は、変調波の包絡線(エンベロープ)を抽出することです。ダイオードを通過したあとの電流は脈流となっており、ここには目的とする信号波の成分と、除去すべき高い周波数を持つ搬送波の成分が混在しています。これらを選別するために、周波数特性を持つインピーダンスの性質を利用します。
インピーダンスと周波数特性
電気回路において、周波数 [Hz] の信号に対するコンデンサのリアクタンス [Ω] は、次の式で表されます。
この式から、周波数 が高くなるほど、コンデンサのリアクタンス は小さくなるという性質があります。
この性質を踏まえて、信号波(低周波)と搬送波(高周波)に対する合成インピーダンスの挙動を順を追って整理します。
信号波の周波数に対する挙動 信号波は搬送波に比べて周波数が低いため、コンデンサのリアクタンス は非常に大きな値となります。並列接続された抵抗 との合成インピーダンスにおいて、極めて大きな抵抗値を持つコンデンサは電流をほとんど流さないため、合成インピーダンスは並列抵抗 とほぼ等しくなります。これにより、信号波の成分は回路内に留まり、出力端子へと伝えられます。
搬送波の周波数に対する挙動 搬送波は周波数が高いため、コンデンサのリアクタンス は非常に小さな値となります。合成インピーダンスは、抵抗 と小さな の並列接続となり、全体として の値に支配されて非常に小さくなります。その結果、高周波である搬送波成分はコンデンサを通ってバイパスされ、出力には現れなくなります。
求められる特性の決定 以上の動作を維持するためには、コンデンサのリアクタンスを搬送波の周波数に対して十分に小さく設計する必要があります。これにより搬送波成分を効果的に除去し、滑らかな信号波のみを取り出すことが可能となります。
回路図の出力側に並ぶ抵抗の両端に目を向けると、周波数に応じたコンデンサの通り道の変化と、そこから流れ出る信号の姿が重なって見えてきます。