令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問100 解説 問10 問10
問10 次の文章は,計器用変成器の変流器に関する記述である。その記述内容として誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 変流器は,一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる計器用変成器である。
- 変流器は,二次側に開閉器やヒューズを設置してはいけない。
- 変流器は,通電中に二次側が開放されると変流器に異常電圧が発生し,絶縁が破壊される危険性がある。
- 変流器の通電中に,電流計をやむを得ず交換する場合は,二次側端子を短絡して交換し,その後に短絡を外す。
- 変流器は,一次電流が一定でも二次側の抵抗値により変流比は変化するので,電流計の選択には注意が必要になる。 ✓ 正答
解説
変流器(CT)の二次側インピーダンスが変化しても変流比はほぼ一定であるため、二次側の抵抗値によって変流比が変化するという記述は誤りです。
変流器の基本原理と変流比
変流器(Current Transformer)は、大電流を小電流に変換して計測するための変成器です。その動作の根拠は、電磁誘導の法則に基づいています。一次巻線に流れる電流によって鉄心内に磁束が生じ、その磁束の変化が二次巻線に起電力を誘起することで二次電流が流れます。
理想的な変流器では、一次電流 と二次電流 の関係は、巻線数 を用いて と表されます。この式が示す通り、変流比()は基本的に巻線比()のみによって決定されます。そのため、二次側に接続される計器(電流計など)の抵抗値が多少変化しても、変流器は一次電流に比例した二次電流を維持するように動作します。
変流器の取り扱いに関する判断
変流器の運用において重要な性質と、各選択肢の妥当性は以下の通りです。
二次側開放の危険性:変流器の二次側を流れる電流は、一次電流の大きさによって決まります。もし二次側を開放すると、二次電流がゼロになろうとします。しかし、一次電流は電源側から強制的に流されているため、鉄心内の磁束を打ち消す役割を果たす二次電流が流れないと、磁束が急激に増加します。この結果、二次巻線に過大な電圧が誘起され、絶縁破壊や火災、感電の危険が生じます。この性質から、二次側には開閉器やヒューズを設置して電流路を遮断してはなりません。
二次側の短絡操作:電流計を交換する際には、二次側が開放状態にならないよう、あらかじめ短絡端子を用いて二次側を短絡します。これにより、電流計を外しても二次側の電流路が確保され、前述の異常高電圧の発生を防止できます。交換が完了し、新しい計器が適切に接続された後に短絡を外すのが安全な手順です。
変流比の特性:前述の通り、変流比は巻線比で規定されるため、二次側のインピーダンスが変化しても比率は大きく変動しません。したがって、二次側の負荷抵抗値によって変流比が変化するという記述は、変流器の原理と矛盾しています。
変流器の二次側端子と、そこに接続される電流計の内部回路図を重ねてみると、電流の通り道が絶えず確保されている様子が見えてきます。