令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問50 解説 問5 問5
問5 次の文章は,「電気設備技術基準」における,電気機械器具等からの電磁誘導作用による影響の防止に関する記述の一部である。変電所又は開閉所は,通常の使用状態において,当該施設からの電磁誘導作用により(ア)の(イ)に影響を及ぼすおそれがないよう,当該施設の付近において,(ア)によって占められる空間に相当する空間の(ウ)の平均値が,商用周波数において(エ)以下になるように施設しなければならない。
- (1) 通信設備 機能 磁界の強さ 200 A/m
- (2) 人 健康 磁界の強さ 100 A/m
- (3) 無線設備 機能 磁界の強さ 100 A/m
- (4) 通信設備 機能 磁束密度 200 μT
- (5) 人 健康 磁束密度 200 μT ✓ 正答
解説
変電所又は開閉所における電磁誘導作用の防止については、人に対する健康上の影響を考慮し、施設付近の磁束密度の平均値が商用周波数において200μT以下となるよう定められています。
電気設備技術基準における電磁誘導の考え方
電気設備技術基準の第27条では、電気機械器具等から発生する磁界が人体に与える影響を抑制するための技術的要件が規定されています。この規定の目的は、変電所等の周囲で生活する人々が、施設からの強い磁界にさらされることによる健康への懸念を排除することにあります。
ここで用いられる物理量は「磁束密度」です。磁界の強さを表す指標には「磁界の強さ(単位:A/m)」と「磁束密度(単位:T)」の2種類がありますが、本規定では空間的な影響の評価指標として磁束密度が採用されています。磁束密度は、磁力線の密度のことであり、その空間に存在する磁気の強さを直接的に示す値です。基準値として設定されている200μT(マイクロテスラ)という数値は、商用周波数(50Hzまたは60Hz)における人体への安全性を考慮した国際的なガイドラインとも整合するよう設計された値です。
規定の適用と判断
この基準を空欄に当てはめて整理すると、以下のようになります。
- 防護の対象を特定します。電気設備技術基準が定めるこの条文は、通信や無線などの機器ではなく「人」を主たる防護対象としています。
- 守るべき価値を特定します。人に対して「機能」を維持させる必要性はなく、守るべきは「健康」です。
- 評価指標と数値を決定します。人に対する磁界の影響を評価するために、磁界の強さ(A/m)ではなく「磁束密度」を用い、その平均値が商用周波数において「200μT」以下であることを基準とします。
これらの条件を合わせると、選択肢の中から「人」「健康」「磁束密度」「200μT」の組み合わせが導き出されます。
規定の文面を眺めながら、変電所周辺の空間に広がる見えない磁束の広がりを想像してみると、なぜ空間の平均値を制限する必要があるのか、その理由がより明確に見えてきます。