令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 問30 解説 問3 問3
問3 巻線形誘導電動機のトルク-回転速度曲線は, 電源電圧及び(ア)が一定のとき, 発生するトルクと回転速度との関係を表したものである。この曲線は, ある滑りの値でトルクが最大となる特性を示す。このトルクを最大トルク又は(イ)トルクと呼んでいる。この最大トルクは(ウ)回路の抵抗には無関係である。巻線形誘導電動機のトルクは(ウ)回路の抵抗と滑りの比に関係するので,(ウ)回路の抵抗がk倍になると, 前と同じトルクが前の滑りのk倍の点で起こる。このような現象は(エ)と呼ばれ, 巻線形誘導電動機の始動特性の改善及び速度制御に広く用いられている。上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 電源周波数 停 動 二 次 比例推移 ✓ 正答
- (2) 電源周波数 停 動 一 次 二次励磁
- (3) 負 荷 臨 界 一 次 比例推移
- (4) 電源周波数 臨 界 二 次 二次励磁
- (5) 負 荷 臨 界 二 次 比例推移
解説
巻線形誘導電動機のトルク特性は、電源電圧と電源周波数が一定の条件下において、二次抵抗値を調整することでトルクの発生する滑りを変化させる比例推移という性質を持ち、最大トルク(停動トルク)が二次抵抗値に依存しない特性を示すため、正解は(1)となります。
誘導電動機のトルク特性と比例推移
誘導電動機の発生トルクは、二次回路の抵抗値 と滑り の比である の関数として表されます。この特性により、二次抵抗を変化させるとトルクと滑りの関係が横方向にシフトするという現象が起こります。これが比例推移です。
この比例推移において重要な性質は、二次抵抗を 倍に増加させたとき、あるトルクを発生させる滑り も 倍になるという点です。一方で、最大トルクそのものの大きさは、二次抵抗値 にかかわらず一定となります。これは、最大トルクに達するときの滑り(臨界滑り)が二次抵抗値に比例して大きくなる性質と相まって、トルクのピーク位置を狙った回転速度に移動させることが可能であることを意味します。
トルク特性の用語と条件
誘導電動機のトルクに関する各語句は以下のように定義されます。
- 電源周波数(ア): トルク-回転速度曲線は、電源の電圧と周波数が一定のときに初めて固定的な曲線として定まります。
- 停動トルク(イ): 電動機が安定して回転を維持できる限界の最大トルクのことです。これを超えると電動機は回転を維持できず停止するため、停動トルクと呼ばれます。
- 二次回路(ウ): 比例推移は回転子側(二次側)の巻線抵抗を調整することで行われます。
- 比例推移(エ): 二次抵抗値の変化に伴い、トルク曲線が滑り軸方向に平行移動する現象のことです。
比例推移の判断手順
- 電動機の運転状態を規定する外部条件として、電圧と周波数が一定であることを特定します。
- トルク曲線の山頂にあたる最大トルクが、抵抗変化に関わらず一定である性質を「停動」という用語で特定します。
- 比例推移の原理が「二次回路」の抵抗調整によって生じるものであることを確認します。
- 抵抗と滑りの比が一定であればトルクが変わらないという現象を「比例推移」として決定します。
回転子に接続された可変抵抗器の値を調整する様子をイメージし、トルク曲線の山が左右に動く比例推移の現象を重ねてみると、電動機の運転特性の制御の仕組みが見えてきます。