令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問161 解説 問16(a) 問16
問16(a)
図1のようなT形回路(1相分)があり、抵抗r=20Ω、リアクタンスx=80Ω、アドミタンスY=0.0007Sである。Vr1=150kV、Ir=400A、負荷の力率(遅れ)cosθr=√3/2のとき、Vc[kV]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 134.2
- 152.3
- 161.9 ✓ 正答
- 172.0
- 180.4
解説
T形回路における送電端側の電圧 Vc は、負荷端電圧 Vr1 を基準として、負荷電流 Ir による後半部分の直列インピーダンスでの電圧降下を加えることで、その絶対値が約161.9 kVと導かれます。
回路の性質と電圧降下の関係
T形回路は、送電線路の抵抗とリアクタンスを分割して配置し、中央にアドミタンス(静電容量)を設けることで線路の特性をモデル化したものです。本問のように特定の点(この場合は中央のノード)の電圧 Vc を求める際、最も重要な法則はキルヒホッフの電圧則です。これは「閉回路内の電圧の和はゼロになる」という性質であり、回路上の任意の点における電圧は、基準とする電圧に、そこに至るまでのインピーダンスによる電圧降下をベクトル加算することで得られます。
交流回路における電圧や電流は大きさだけでなく位相を持つため、計算には複素数を用います。負荷端の電圧 Vr1 を位相の基準(実軸上)に設定することで、各部の電圧関係を相対的に整理することが可能になります。
電圧 Vc の決定手順
負荷電流の複素数表現
負荷端電圧 Vr1=150 kV を基準として、負荷力率 cosθr=3/2(遅れ)から電流 Ir を複素数表示にします。力率角は θr=30∘ です。遅れ力率であるため電流の位相は電圧より遅れ、電流 Ir=400(cos30∘−jsin30∘)=400(3/2−j0.5)=2003−j200 [A] となります。
直列インピーダンスでの電圧降下の計算
Vr1 から中央ノード Vc までの直列部分は、与えられた抵抗 r=20 Ω、リアクタンス x=80 Ω の半分が配置されています。この区間のインピーダンス Zhalf=r/2+jx/2=10+j40 [Ω] を用いて、この区間の電圧降下を求めます。
電圧降下 =Ir×(10+j40)=(2003−j200)(10+j40)
=20003+j80003−j2000−j28000
=20003+8000+j(80003−2000) [V] となります。
電圧 Vc のベクトル合成
Vc=Vr1+(電圧降下) で求めます。単位を kV に合わせるため Vr1=150000 V とし、150000+20003+8000+j(80003−2000) を計算すると、158000+20003+j(80003−2000)≈161464+j11856 [V] となります。
電圧の大きさの算出
得られた複素電圧の大きさ ∣Vc∣=1614642+118562≈161899 V を得ます。これを kV 単位に換算すると約 161.9 kV です。
回路図の Vr1 を出発点とし、そこから中央の Vc に至るまでに配置された抵抗やリアクタンスでの電圧降下の広がりをベクトル図上で重ねてみると、電圧の絶対値が元の Vr1 より大きくなる様子が見えてきます。
参考リンク
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