令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問162 解説 問16(b) 問16
問16(b)
図1のようなT形回路(1相分)があり、抵抗r=20Ω、リアクタンスx=80Ω、アドミタンスY=0.0007Sである。Vr1=150kV、Ir=400A、負荷の力率(遅れ)cosθr=√3/2のとき、Vs1[kV]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 145.9
- 155.4
- 160.6
- 170.1 ✓ 正答
- 180.7
解説
T形回路の負荷側電圧と負荷電流、および回路定数に基づき、キルヒホッフの法則を適用して順次電圧と電流を求めていくことで、送電端電圧の大きさが約170.1kVと導かれます。
回路計算の基本原理
T形回路における送電端と受電端の電気的関係を解明するには、キルヒホッフの電流則(KCL)および電圧則(KVL)を用います。KCLは、ある接続点に流入する電流の和と流出する電流の和が等しいという法則であり、この問題では中央の並列分路点での電流バランスを考える際に不可欠です。一方、KVLは回路の閉路における電圧降下の和が電源電圧と等しいという法則であり、送電端から受電端までの各区間における電圧降下を積み上げることで、電位差の関係を明らかにします。これらは複素数を用いて計算することで、大きさだけでなく位相まで考慮した正確な電力伝送特性を算出できます。
送電端電圧を求める手順
この問題では、受電端から送電端に向かって段階的に計算を進めるのが確実です。
中央の接続点電圧の算出
受電端電圧 Vr1=150 kV を基準とします。負荷電流 Ir=400 A は力率 cosθr=3/2(遅れ)であるため、位相角 θr=30∘ を用いてベクトル表示します。Ir=400(cos30∘−jsin30∘)=2003−j200 A となります。受電端側のインピーダンス r/2+jx/2=10+j40 Ω による電圧降下を加えると、中央接続点の電圧 Vc は Vc=Vr1+Ir(10+j40) となり、約 161.5+j11.9 kV となります。
分路電流の計算
中央の並列分路にはアドミタンス Y=0.0007 S が配置されており、ここに流れる電流 Ic は Ic=jYVc です。前述の Vc に j0.0007 を乗じると、Ic=j0.0007×(161.5×103+j11.9×103)≈−8.3+j113.0 A と求められます。
送電端電流の合算
送電端から流れ込む電流 Is は、負荷へ向かう Ir と分路へ流れる Ic の和となるため、Is=Ir+Ic=(2003−j200)+(−8.3+j113.0)=338.2−j87.0 A となります。
送電端電圧の決定
送電端電圧 Vs1 は、Vc に送電端側のインピーダンス降下を加算して、Vs1=Vc+Is(10+j40) となります。これを計算すると Vs1≈(161.5+j11.9)+(338.2−j87.0)(10+j40)=168.3+j24.5 kV となります。最後にこの複素数の絶対値を求めると、168.32+24.52≈170.1 kV となります。
T形回路の図上で、負荷側からインピーダンスをたどり、並列のアドミタンスで電流を分岐させ、再び直列インピーダンスを経て送電端へ至る流れを追うと、各点での電圧ベクトルが形を変えていく様子が見えてきます。
参考リンク
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