令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問30 解説 問3 問3
問3 次の文章は,汽力発電所における蒸気タービンの分類に関する記述である。衝撃タービンは,高温・高圧の蒸気が羽根に衝突するときに生ずる衝動力によってランナを回転させるもので,タービンのノズルを通る間に蒸気の圧力が(ア)し,高速度となってノズルから噴出する。この噴出した蒸気を前面の羽根に衝突させることにより,ランナを回転させる。羽根を通過する蒸気の通路の断面積が一様であり,羽根の出入口の蒸気の圧力は(イ)。衝撃タービンは蒸気の圧力が(ウ)のものに適する。反動タービンは,衝動力と蒸気が回転羽根を離れるときの反動力とを利用するもので,固定羽根で膨張させた蒸気を羽根に衝突させてランナを回転させるとともに,ランナの内部で蒸気を(エ)させ,排気するときの反動力を利用してランナを回転させる。反動タービンは,蒸気の圧力が(オ)のものに適する。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) (ア)上昇 (イ)等しい (ウ)高圧 (エ)膨張 (オ)中低圧
- (2) (ア)上昇 (イ)異なる (ウ)中低圧 (エ)凝縮 (オ)高圧
- (3) (ア)上昇 (イ)等しい (ウ)中低圧 (エ)膨張 (オ)高圧
- (4) (ア)降下 (イ)異なる (ウ)中低圧 (エ)凝縮 (オ)高圧
- (5) (ア)降下 (イ)等しい (ウ)高圧 (エ)膨張 (オ)中低圧 ✓ 正答
解説
衝撃タービンはノズルで蒸気の圧力エネルギーを速度エネルギーに変換するため蒸気圧力が降下し、その後の回転羽根は蒸気の圧力変化なく等しい状態を維持することで、高圧蒸気の取り扱いに適した構造となっています。
衝撃タービンと反動タービンのエネルギー変換原理
蒸気タービンは、ボイラーから送られてくる高温・高圧の蒸気が持つ熱エネルギーを、回転運動による機械的エネルギーに変換する装置です。この変換過程において、「ベルヌーイの定理」が基本的な指針となります。流体のエネルギー保存則を示すこの定理に基づくと、蒸気の圧力エネルギーが減少すれば、その分だけ運動エネルギー(速度)が増加することになります。
衝撃タービンは、ノズル部分で蒸気を急激に加速させ、その勢いで回転翼を叩く仕組みです。一方、反動タービンは、蒸気を加速させると同時に、回転翼自体の中でも蒸気を膨張(圧力降下)させ、その際に発生する反作用(ニュートンの第3法則:作用反作用の法則)を回転力として利用します。
蒸気タービンの分類による構造的差異
各タービンの特徴に基づき、以下のステップで空欄を決定します。
- 衝撃タービンのノズル部では、蒸気の熱エネルギーを速度エネルギーに変換するため、圧力は(ア)降下します。
- 衝撃タービンのランナ(回転翼)は、ノズルから出た蒸気の速度を利用するだけで、翼内部で蒸気を膨張させません。そのため、翼の前後の蒸気の圧力は(イ)等しい状態を保ちます。
- 高い圧力差を一気に速度エネルギーへ変換できる衝撃タービンの特性上、蒸気の圧力が(ウ)高圧な箇所での使用に適しています。
- 反動タービンは、固定羽根だけでなくランナの内部でも蒸気を(エ)膨張させ、継続的に反動力を得ながら回転します。
- 反動タービンは、圧力変化を段階的に行う構造であるため、全体として蒸気の圧力が(オ)中低圧の領域に適した設計となります。
タービンの羽根の形状や蒸気の通り道を詳しく見ると、ノズルから噴出した蒸気がどのように翼へ当たり、あるいは翼の中で膨張していくのか、そのエネルギー変換の様子が伝わってきます。