令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問60 解説 問6 問6
問6 次の文章は,調相設備に関する記述である。一般に電力系統では,受電端電圧を一定に保つため,調相設備を負荷と(ア)に接続して無効電力の調整を行っている。電力用コンデンサは力率を(イ)ために用いられ,分路リアクトルは力率を(ウ)ために用いられる。同期調相機は,その(エ)を加減することによって,進み又は遅れの無効電力を連続的に調整することができる。静止形無効電力補償装置は,(オ)でリアクトルに流れる電流を調整することにより,無効電力を高速に制御することができる。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 並列 進める 遅らせる 界磁電流 半導体スイッチ ✓ 正答
- (2) 直列 遅らせる 進める 電機子電流 半導体整流装置
- (3) 並列 遅らせる 進める 電機子電流 半導体スイッチ
- (4) 直列 進める 遅らせる 電機子電流 半導体整流装置
- (5) 並列 遅らせる 進める 界磁電流 半導体スイッチ
解説
電力系統において、受電端電圧の維持や力率改善を目的とした調相設備は、電圧の大きさを制御するために系統に対して並列に接続し、進みおよび遅れの無効電力を供給または吸収することで調整を行っています。
調相設備の接続と役割
調相設備は系統電圧を制御する機器であり、一般に負荷に対して並列に接続されます。これにより、系統の電圧低下時には進み無効電力を供給し、電圧上昇時には遅れ無効電力を吸収することで、電圧を一定の範囲に保つことができます。
電力用コンデンサは、電気回路において遅れ負荷(誘導性負荷)と並列に接続することで、系統に供給される進み無効電力を補い、力率を改善(進める)する役割を担います。一方、分路リアクトルは、軽負荷時のフェランチ効果による電圧上昇を抑えるため、系統から遅れ無効電力を吸収して力率を補正(遅らせる)するために用いられます。
同期調相機による無効電力制御
同期調相機は、界磁電流の大きさを調整することで、無効電力を進みから遅れまで連続的に制御できる回転機です。これは、同期機のV曲線の特性に基づくもので、界磁電流を大きくすると進み(過励磁)、小さくすると遅れ(不足励磁)の無効電力を発生させる性質を利用しています。
静止形無効電力補償装置(SVC)の構成
静止形無効電力補償装置(SVC:Static Var Compensator)は、回転機を用いずに高速な無効電力制御を実現する装置です。サイリスタなどの半導体スイッチを用いてリアクトルに流れる電流の導通角を制御することで、等価的な無効電力を瞬時に調整します。
調相機器の特性に基づく判断
- 調相設備を負荷と「並列」に接続して使用する点は、電圧調整の基本ルールです。
- 電力用コンデンサは進み無効電力を補給して「進める」役割を持ち、分路リアクトルは遅れ無効電力を消費して「遅らせる」役割を持ちます。
- 同期調相機による無効電力調整の可変対象は「界磁電流」であり、電機子電流は結果として生じる系統への出力電流です。
- SVCによる電流調整は「半導体スイッチ」の高速なオン・オフ制御によって実現されます。
電力系統の電圧波形と調相機器がやり取りする無効電力の流れを重ねてみると、電圧を一定に保つための動的なバランスが見えてきます。