令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問70 解説 問7 問7
問7 次の文章は,計器用変成器に関する記述である。計器用変成器において,変成器の二次端子は,常に(ア)負荷を接続しておかねばならない。特に,一次電流(負荷電流)が流れている状態では,絶対に二次回路を(イ)してはならない。これを誤ると,二次側に大きな(ウ)が発生し(エ)が過大となり,変成器を損傷する恐れがある。また,一次端子のある変成器は,その端子を被測定線路に(オ)に接続する。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次から選べ。
- (1) 高インピーダンス 短絡 電圧 鉄損 直列
- (2) 低インピーダンス 短絡 誘導電流 銅損 並列
- (3) 高インピーダンス 短絡 誘導電流 銅損 直列
- (4) 低インピーダンス 開放 電圧 鉄損 直列 ✓ 正答
- (5) 高インピーダンス 開放 電圧 銅損 並列
解説
計器用変成器である変流器(CT)は、二次側に低インピーダンスの負荷を接続して使用する機器であり、二次側の開放による高電圧の発生や鉄損の過大を防ぐため、被測定線路に対して直列に接続されます。
変流器の動作原理と二次側の重要性
変流器は、大電流を小電流に変換して計測するための変成器です。その動作の基本は電磁誘導の法則であり、一次側に流れる電流によって鉄心内に磁束を生じさせ、その磁束の変化によって二次側に電流を誘起します。
変流器の二次側には、電流計などの低インピーダンス負荷が接続されることが前提となっています。この状態では、二次電流によって生じる磁束が、一次電流によって生じる磁束を打ち消すように働きます(レンツの法則)。その結果、鉄心内の合成磁束は非常に小さい値に抑えられ、正常な変流動作が行われます。
二次側開放時の現象
もし二次回路を物理的に切断して開放すると、二次電流が流れなくなります。すると、二次側で磁束を打ち消す働きが消失し、一次電流のすべてが励磁電流として作用することになります。これにより、鉄心内の磁束密度が極めて高い値まで急激に上昇し、以下の現象を引き起こします。
- 高電圧の発生: 磁束の変化が非常に大きくなるため、電磁誘導の法則により二次端子間に極めて高い電圧が誘起されます。これは絶縁破壊や感電の大きなリスクとなります。
- 鉄損の増大と過熱: 磁束密度が飽和領域まで達すると、磁気ヒステリシス損や渦電流損からなる鉄損が激増し、変流器内部で異常な発熱が生じます。この過熱が続くと変流器が損傷します。
変流器の接続と判断の要点
- 負荷のインピーダンス: 変流器は二次側を流れる電流を計測する目的で使用するため、電流を妨げないよう二次端子には常に低インピーダンスの負荷を接続する必要があります。
- 二次側の取り扱い: 一次側に負荷電流が流れている状態で二次側を開放すると、前述の通り高電圧と鉄損の増大を招くため、二次側を絶対に開放してはいけません。
- 回路への接続: 電流を測定するためには、被測定線路に流れる電流そのものを変流器の一次巻線に通す必要があるため、被測定線路に対して直列に接続します。
二次側の端子台や接続回路の構成に目を向けると、短絡された状態と開放された状態が変流器の磁気回路に与える影響の違いが浮き彫りになります。