令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問30 解説 問3 問3
問3 「電気設備技術基準」では,「光ファイバケーブル」及び「光ファイバケーブル線路」の定義を次のように規定している。a)「光ファイバケーブル」とは,光信号の伝送に使用する伝送媒体であって,保護(ア)で保護したものをいう。b)「光ファイバケーブル線路」とは,光ファイバケーブル及びこれを(イ)し,又は保蔵する工作物(造営物の屋内又は(ウ)に施設するものを除く。)をいう。上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に記入する字句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
- (1) 装置 収納 屋外
- (2) 装置 収納 屋上
- (3) 被覆 支持 屋側 ✓ 正答
- (4) 被覆 保護 屋上
- (5) 器具 支持 屋側
解説
電気設備に関する技術基準を定める省令において、光ファイバケーブルは外傷から守るための被覆で保護された伝送媒体と定義され、光ファイバケーブル線路はケーブルおよびこれを支持・保蔵する工作物のうち造営物の屋内や屋側に施設するものを除いたものと定められているため、正答は(3)となります。
電気設備技術基準における用語の定義と保安の考え方
この問題の判断の土台となるのは、電気保安の基本法規である「電気設備に関する技術基準を定める省令(電気設備技術基準)」第1条に規定された用語の定義です。
光ファイバは電気信号ではなく光信号を伝える媒体であるため、それ自体に感電や漏電といった電気的な危険性はありません。しかし、光ファイバケーブルは電線と並行して架空に敷設されたり、同じ支持物(電柱など)を共有して施設されたりすることが多いため、強電流電線との混触防止や断線による落下防止など、電気保安上の観点から「電線」や「電線路」とほぼ同様の安全規制を課す必要があります。そのため、電気設備技術基準において明確に用語が定義され、規制の対象とされています。
この技術基準では、インフラとして屋外に広がっている網を適切に管理するため、末端の消費場所である「建物の中(屋内)」や「建物の外壁(屋側)」に施設されるものについては、規制が及ぶ「線路」の定義から除外するという一貫した法体系が採られています。
光ファイバケーブルと線路の定義の判定
空欄(ア)には、光ファイバを外部の衝撃から守る構造を表す「被覆」が入ります。光ファイバの芯線は極めて細いガラスやプラスチックの繊維であり、わずかな擦れや曲げで破損したり、湿気によって劣化したりします。この繊細な伝送媒体を物理的に保護するために施される樹脂などの外殻層を「保護被覆(あるいは被覆)」と呼びます。「装置」や「器具」はそれ自体が独立した機械や道具を指す言葉であり、ケーブルそのものの構成要素を物理的に包んで保護する記述としては不適切です。
空欄(イ)には、ケーブルを物理的に支える役割を表す「支持」が入ります。電気設備技術基準における「電線路」の定義(電線及びこれを支持し、又は保蔵する工作物)と並行する形で、光ファイバケーブル線路も「光ファイバケーブル及びこれを支持し、又は保蔵する工作物」と規定されています。「支持」とは、電柱やメッセンジャーワイヤなどを用いて、ケーブル自体の重さや風圧荷重に耐えられるように物理的に固定・保持することを意味します。ケーブルを単に中に納めることを指す「収納」や、損傷を防ぐ行為を指す「保護」に比べ、工作物の構造的な役割をより直接的に表す言葉が選ばれます。
空欄(ウ)には、建物に付随する場所を表す「屋側」が入ります。技術基準において、電柱や地下管路のように道路などの広い空間に展開する公共性の高い「線路」と、個別の建物に付随する配線とを区別するため、建物(造営物)の内部である「屋内」および建物の外壁や軒下などに沿って施設する「屋側(おくそく)」に施設するものは「線路」の定義から除外されます。「屋外」は敷地全体を含む広い概念であり、「屋上」は屋根の上の限られたスペースを指すため、屋内と対をなす建物の外面配線エリアを表す言葉としては、技術基準の定義上「屋側」が正しく当てはまります。
電気設備技術基準における「電線路」の定義と、この「光ファイバケーブル線路」の定義の構成を重ね合わせてみると、法律がどのような場所のどのような設備を保安の対象として見なしているのか、その全体像が見えてきます。