令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問40 解説 問4 問4
問4 「電気設備技術基準の解釈」に基づく,高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。以下同じ。)の施設について,発電所,蓄電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所において,高圧の機械器具を施設することができる場合として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 人が触れるおそれがないように,機械器具の周囲に適当なさく,へい等を設け,当該さく,へい等の高さと,当該さく,へい等から機械器具の充電部分までの距離との和を5m以上とし,かつ,危険である旨の表示をする場合
- (2) 屋内であって,取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合
- (3) 工場等の構内において,機械器具の周囲に高圧用機械器具である旨の表示をする場合 ✓ 正答
- (4) 機械器具をコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め,かつ,充電部分が露出しないように施設する場合
- (5) 充電部分が露出しない機械器具を人が接近又は接触しないよう,さく,へい等を設けて施設する場合
解説
電気設備技術基準の解釈第19条において、一般の人が出入りする場所に高圧の機械器具を施設する際は強固な物理的防護措置を講じることが厳格に義務付けられており、工場等の構内であっても単に「高圧用機械器具である旨の表示をする」だけでは感電防止のための物理的な障壁として機能しないため、選択肢(3)が施設基準に適合せず誤り(正答)となります。
高圧機械器具の安全確保に必要な物理的隔離
高圧の機械器具には極めて高い電圧が加わっているため、人が少しでも接触したり、限界まで接近したりすると、空気の絶縁が破れて重大な感電災害や短絡事故が発生する恐れがあります。このため、電気設備技術基準の解釈第19条(高圧の機械器具の施設)では、発電所や変電所、開閉所といった関係者以外が立ち入らない特別な場所以外の場所において高圧機械器具を施設する際、厳重な安全確保を求めています。
安全対策の根底にあるのは、一般の人が充電部分に絶対に触れられないようにするための物理的隔離という概念です。単に危険や高圧といった看板や表示を掲げるだけでは、不注意による接近や子供の迷い込みなどを防ぐための物理的な力を持たないため、安全措置としては不十分とみなされます。電気設備技術基準の解釈では、物理的に人が近づけない距離を確保するか、あるいは頑丈な箱やさく、へいによって充電部分を完全に覆い隠すといった、具体的かつ確実な手段を実行することを要求しています。
高圧機械器具の施設制限における適合性の判定
選択肢(1)は、人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさくやへいを設ける場合の基準を示しています。電気設備技術基準の解釈第19条第1項第一号ロでは、さくやへい等の高さと、さくやへい等から充電部分までの距離の和を5メートル以上とし、かつ危険表示をすることで安全が確保されると定めているため、この方法は適合します。
選択肢(2)は、屋内であって取扱者以外の者が出入りできない措置を講じた場所に施設する場合について述べています。同条第1項第二号において、一般の人が立ち入れないように施錠等の措置がなされた専用の屋内スペースであれば、機械器具を安全に施設できると認められているため、この方法は適合します。
選択肢(3)は、工場等の構内において周囲に高圧用機械器具である旨の表示のみを行う場合を提示しています。同条第1項第三号では、工場等の構内であっても、機械器具の周囲にさくやへいを設けることや、人が容易に触れるおそれがない高さに施設することなどの具体的な物理的防護措置を求めています。警告表示だけでは物理的な接触を一切防げないため、この方法は技術基準に適合せず誤りとなります。
選択肢(4)は、機械器具をコンクリート製の箱、またはD種接地工事を施した金属製の箱に収め、充電部分が露出しないように施設する場合について述べています。同条第1項第一号ハおよびニにおいて、充電部分を堅牢な箱に封じ込めることは極めて安全性の高い防護方法と定義されており、この施設方法は適合します。
選択肢(5)は、充電部分が露出しない機械器具について、人が接近や接触をしないようさらにさくやへい等を設けて施設する場合について述べています。同条第1項第四号において、もともと充電部分が露出していない安全性の高い機器であっても、さくやへい等による防護措置を重ねて講じることで一般の場所へ設置することが認められているため、この方法は適合します。
高圧の電線が引き込まれる先の機器や、周囲を囲む頑丈な防護フェンスなどの位置関係を頭の中で結びつけてみると、目に見えない電気から人を遠ざけるための確実な境界線が浮かび上がってきます。