令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問80 解説 問8 単相変圧器の簡易等価回路
問8 次の文章は、単相変圧器の簡易等価回路に関する記述である。 変圧器の電気的な特性を考慮する場合、等価回路を利用すると都合がよい。また,等価回路は負荷も含めた電気回路として考えると便利であり,特に二次側の諸量を一次側に置き換え,一次側の回路はそのままとした「一次側に換算した簡易等価回路」は広く利用されている。 一次巻線の巻数を $N_1$,二次巻線の巻数を $N_2$ とすると,巻数比 $a$ は $a = \frac{N_1}{N_2}$ で表され,この $a$ を使用すると二次側諸量の一次側への換算は以下のように表される。 $\dot{V}_2'$ :二次電圧 $\dot{V}_2$ を一次側に換算したもの $\dot{V}_2' = \text{(ア)} \cdot \dot{V}_2$ $\dot{I}_2'$ :二次電流 $\dot{I}_2$ を一次側に換算したもの $\dot{I}_2' = \text{(イ)} \cdot \dot{I}_2$ $r_2'$ :二次抵抗 $r_2$ を一次側に換算したもの $r_2' = \text{(ウ)} \cdot r_2$ $x_2'$ :二次漏れリアクタンス $x_2$ を一次側に換算したもの $x_2' = \text{(エ)} \cdot x_2$ $\dot{Z}_L'$ :負荷インピーダンス $\dot{Z}_L$ を一次側に換算したもの $\dot{Z}_L' = \text{(オ)} \cdot \dot{Z}_L$ ただし,'(ダッシュ)の付いた記号は,二次側諸量を一次側に換算したものとし,'(ダッシュ)のない記号は二次側諸量とする。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) (ア) $1/a$, (イ) $a$, (ウ) $1/a^2$, (エ) $1/a^2$, (オ) $a^2$
- (2) (ア) $1/a$, (イ) $a$, (ウ) $a^2$, (エ) $a^2$, (オ) $a$
- (3) (ア) $a$, (イ) $1/a$, (ウ) $1/a^2$, (エ) $1/a^2$, (オ) $1/a^2$
- (4) (ア) $a$, (イ) $1/a$, (ウ) $a^2$, (エ) $a^2$, (オ) $a^2$ ✓ 正答
- (5) (ア) $1/a$, (イ) $a$, (ウ) $1/a^2$, (エ) $1/a^2$, (オ) $1/a^2$
解説
単相変圧器の二次側諸量を一次側に換算する際、電圧は巻数比 倍、電流は 倍、インピーダンス成分(抵抗・漏れリアクタンス・負荷インピーダンス)は 倍となるため、選択肢(4)が正答となります。
変圧器の換算の基本原理
変圧器の一次側と二次側の関係は、理想変圧器の変圧比および変流比の法則に基づきます。巻数比 (の降圧変圧器を想定)を用いると、以下の関係式が成り立ちます。
- 変圧の法則: より、 となります。したがって、二次電圧を一次側に換算した値 は です。
- 変流の法則: より、 となります。したがって、二次電流を一次側に換算した値 は です。
- インピーダンスの換算:インピーダンス は電圧と電流の比()であるため、換算後のインピーダンス は、換算後の電圧を換算後の電流で割ることで求められます。すなわち、 となります。
この換算は、オームの法則に基づき、電力の授受が換算前後で不変であるという性質を利用しています。
換算係数の決定手順
設問の各項目に対し、上記の基本関係を順次当てはめていきます。
- 二次電圧 は 倍して一次側に換算されるため、(ア)は となります。
- 二次電流 は 倍して一次側に換算されるため、(イ)は となります。
- 抵抗 はインピーダンスの一種であり、 倍して一次側に換算されるため、(ウ)は となります。
- 二次漏れリアクタンス もインピーダンスの一種であるため、 倍され、(エ)は となります。
- 負荷インピーダンス も同様に 倍して一次側に換算されるため、(オ)は となります。
巻数比 を中心に据えて、電圧、電流、そして の二乗が関わるインピーダンスの変換関係を重ねてみると、等価回路全体が一次側へ綺麗に統合される様子が見えてきます。