令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問120 解説 問12 問12
問12 図のように高低差のない支持点A, Bで, 径間長Sの架空送電線において, 架線の水平張力Tを調整してたるみDを10%小さくし, 電線地上高を高くしたい。この場合の水平張力の値として, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, 両側の鉄塔は十分な強度があるものとする。
- 0.9^2T
- 0.9T
- T/sqrt(0.9)
- T/0.9 ✓ 正答
- T/0.9^2
解説
架線の水平張力を元の値TからT/0.9へと増やすことで、たるみDを10%小さい0.9Dへと変化させ、電線の地上高を確保することができます。
たるみと水平張力の関係
架空送電線のような電線は、自重と荷重によって放物線に近い曲線を描いて垂れ下がります。この垂れ下がりの深さをたるみと呼びます。支持点A、Bが高低差のない水平な位置にある場合、径間長をS、電線1mあたりの重量荷重をw、水平張力をTとすると、たるみDは以下の関係式で表されます。
この式から、たるみDは水平張力Tに反比例することがわかります。つまり、張力を大きくすればたるみは小さくなり、逆に張力を小さくすればたるみは大きくなります。
水平張力の計算手順
たるみを10%小さくするという条件を、上記の公式に当てはめて具体的な新しい水平張力T'を求めます。
- 元のたるみDを基準として、新しいたるみD'を「10%小さくする」ため、 と定義します。
- 関係式 より、分子の荷重wと径間長Sの二乗は一定であるため、積 も一定となります。
- 状態の変化前後の関係を式にすると、 となります。
- この式に を代入すると、 となります。
- 両辺を0.9Dで割ることで、 が導かれます。
電線にかかる張力と、電線が描く弓なりの曲線の深さを重ねてみると、たるみを絞り込むために必要な力の加減が見えてきます。