令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問20 解説 問2 問2
問2 総落差200m,ポンプ水車・発電電動機1台よりなる揚水発電所がある。揚水時・発電時共に流量は100m^3/s,損失水頭は揚水・発電共に総落差の2.5%,ポンプ効率・水車効率共に85%,発電効率・電動機効率共に98%とし,損失水頭及び上記4種の効率は,揚程,落差,出力,入力の変化によらず一定とする。揚水時の電動機入力[MW]と,発電時の発電機出力[MW]の組合せとして,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 235, 163
- 235, 159
- 241, 163
- 241, 159 ✓ 正答
- 229, 167
解説
揚水時の電動機入力は有効揚程を考慮したポンプ側の所要動力計算により約241MW、発電時の発電機出力は有効落差を考慮した水車側の発電出力計算により約159MWとなります。
水力発電所のエネルギー変換と損失
揚水発電所では、水の位置エネルギーと電気エネルギーの相互変換を行います。この変換過程では、配管内の水の摩擦や機械の摩擦、電気的な損失が発生します。出力や入力を算出する際の基本式は、水の密度 、重力加速度 、流量 、有効落差 を用いて以下の通り表されます。
揚水時の電動機入力 は、水を引き上げるために必要な出力に対して、ポンプ効率 と電動機効率 で割ることで求められます。一方、発電時の発電機出力 は、落下する水が持つエネルギーに、水車効率 と発電機効率 を掛けることで得られます。
ここで重要なのは、実際の有効落差や有効揚程が総落差 から損失水頭分だけ変化する点です。 揚水時には、配管の摩擦等により本来の落差よりも高い揚程が必要となるため、有効揚程 となります。 発電時には、管路損失によりエネルギーが失われるため、水車に作用する有効落差 となります。
揚水時と発電時の出力計算
揚水時と発電時のそれぞれの数値を条件に当てはめて算出します。
- 揚水時の有効揚程 を計算します。総落差 に対して損失水頭が であるため、 となります。
- 揚水時の電動機入力 を求めます。 に値を代入し、 となります。
- 発電時の有効落差 を計算します。総落差 に対して損失水頭が であるため、 となります。
- 発電時の発電機出力 を求めます。 に値を代入し、 となります。
総落差に対し、損失分を加えて揚水時、引いて発電時の水頭として計算し直すと、各エネルギーの変換過程が見えてきます。