令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問120 解説 問12 問12
問12 真空中に置かれた平行電極板間に, 直流電圧V[V]を加えて平等電界E[V/m]を作り, この陰極板に電子を置いた場合, 初速零で出発した電子が陽極板に到達したときの速さは, v[m/s]となった。このときの電子の運動エネルギーは, 電子が陽極板に到達するまでに得るエネルギーに等しいと考えられ, 次の式が成立する。1/2mv^2 = (ア)ただし, 電子の電気素量をe[C], 電子の質量をm[kg]とする。したがって, この式から電子の速さv[m/s]は, (イ)で表される。上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に当てはまる組合せとして, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (ア) eV, (イ) sqrt(4eV/m)
- (ア) eV, (イ) sqrt(2eV/m) ✓ 正答
- (ア) 2eV, (イ) sqrt(4eV/m)
- (ア) eE, (イ) sqrt(2eE/m)
- (ア) eE, (イ) sqrt(4eE/m)
解説
平行電極板間の電位差 によって電子が加速されるとき、電子が得る運動エネルギーは電気素量 と電位差 の積である となり、これに運動エネルギーの基本式を等置することで、速さ が導かれます。
電子に働くエネルギーと運動の関係
真空中の電界において、電荷が電位差のある2点間を移動する際、その電荷は電界から仕事を受けます。電気素量 [C] の電子が電位差 [V] の場所を通過するとき、電子が得るエネルギー(仕事) は以下の式で表されます。
[J]
このエネルギーは、電子が静止状態から動き出した後の運動エネルギーとして蓄えられます。質量 [kg] の物体が速さ [m/s] で移動しているときの運動エネルギー は、力学の法則に基づき次のように定義されます。
[J]
エネルギー保存の法則により、電界から得た仕事 がそのまま電子の運動エネルギー に変換されるため、両者は等しくなります。
電子の速さを求める手順
電界中の電子の挙動を以下の手順で整理します。
- 電子が陽極板に到達した際のエネルギー収支を式にします。電界から受けるエネルギー がそのまま運動エネルギー になるため、関係式は となります。ここで(ア)には が当てはまります。
- この式を速さ について解くために、まず両辺を で割り、 を掛けます。すると となります。
- 最後に両辺の平方根をとることで、 が得られます。これが(イ)に当てはまる式となります。
選択肢を検討する際、電界の強さ を用いる紛らわしい選択肢がありますが、本問で与えられたエネルギーの定義式に適合するのは電位差 を用いた式です。
電極板に印加された直流電圧と、そこを飛び交う微小な電子の質量を重ねてみると、速さが導き出される様子が見えてきます。