令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問40 解説 問4 問4
問4 次の文章は,電気設備の接地に関する記述であるが,「電気設備技術基準の解釈」から判断して不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 使用電圧200Vの機械器具の鉄台に施す接地工事の接地抵抗値を90Ωとした。
- (2) 使用電圧100Vの機械器具を屋内の乾燥した場所で使用するので,その機械器具の鉄台の接地工事を省略した。
- (3) 使用電圧440Vの機械器具に電気を供給する回路に動作時間が0.1秒の漏電遮断器が施設されているので,その機械器具の鉄台の接地工事の接地抵抗値を300Ωとした。
- (4) 水気のある場所で使用する使用電圧100Vの機械器具に電気を供給する回路に動作時間が0.1秒の漏電遮断器が施設されているので,その機械器具の鉄台の接地工事を省略した。 ✓ 正答
- (5) 使用電圧3300Vの機械器具の鉄台に施す接地工事の接地線に,直径2.6mmの軟銅線を使用した。
解説
水気のある場所で使用する100Vの機械器具には、漏電遮断器を施設しても接地工事を省略できないため、選択肢(4)の記述は不適切です。
接地工事の省略規定と漏電遮断器の役割
電気設備技術基準の解釈第29条では、機械器具に施す接地工事について規定されています。原則として、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具の鉄台や外箱には接地工事を施す必要がありますが、感電防止の観点から一定の条件を満たす場合には接地工事を省略することが認められています。
特に、漏電遮断器を施設することで、地絡事故時に短時間で回路を遮断し、人体への危険を低減できるため、乾燥した場所での使用などに限り接地工事の省略が許容されます。しかし、水気のある場所は人体が濡れていることで電気抵抗が著しく低下し、わずかな漏電でも重大な感電事故につながる恐れがあります。そのため、漏電遮断器の設置に関わらず、接地工事を省略することは禁止されています。
電気設備の設置基準に基づく判断ステップ
選択肢(1)と(3)の検討 D種接地工事(300Ω以下)が求められる環境において、規定値(90Ωや300Ω)が基準範囲内にあるかを確認します。使用電圧200Vや440Vの機器に対して、漏電遮断器の動作時間が0.1秒以内であれば、接地抵抗値を緩和して適用することが認められているため、これらの記述は適切です。
選択肢(2)の検討 100Vの機械器具を乾燥した場所で使用する場合、漏電遮断器の施設等の条件を満たせば接地工事を省略できるという規定が適用されます。したがって、この記述は適切です。
選択肢(4)の検討 使用環境が「水気のある場所」であることに注目します。どれほど高性能な漏電遮断器を設置していても、感電リスクが極めて高い水気のある場所では、接地工事の省略は認められません。このため、本選択肢の内容は技術基準に反します。
選択肢(5)の検討 使用電圧3300Vは高圧に該当します。高圧用機械器具の接地線には、機械的強度や許容電流の観点から、直径2.6mm以上の軟銅線を使用することが定められています。したがって、この記述は適切です。
機械器具の設置場所の湿潤状況と、漏電遮断器による接地省略の可否という制約条件を照らし合わせると、現場の安全性に対する要求水準が見えてきます。