令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 問161 解説 問16(a) 問16
問16(a) 次の図は,パワー半導体デバイスとしてダイオードを用いた三相整流装置の回路を示す。平滑リアクトルのインダクタンスLd[H]は十分に大きく,直流電流Id[A]は一定になっているものとする。交流側にリアクタンスXL[Ω]のリアクトルがあると転流時に重なり角が生じ,直流電圧が降下する。また,ダイオードの順電圧降下VF[V]によっても直流電圧が降下する。これら以外の電圧降下は無視する。入力交流電圧がVL[V]のときのこの整流装置の出力電圧Vd[V]は次式で求められる。Vd=3√2/π*VL-3/π*XL*Id-2VF。この整流装置の入力交流電圧はVL=200V,周波数はf=50Hzで,直流電流はId=36Aである。交流側のリアクトルのインダクタンスはLL=5.56*10^-4Hで,その抵抗値は平滑リアクトルの抵抗値とともに無視できるものとする。また,各ダイオードの順電圧降下はVF=1.0Vで一定とする。ダイオードでは,電流の通電によって損失が発生する。一つのダイオードの損失の平均値は,通電する期間が1サイクルの1/3であるとして計算できる。一つのダイオードで発生する損失[W]の平均値に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 72
- 36
- 24
- 18
- 12 ✓ 正答
解説
一つのダイオードで発生する損失の平均値は、順電圧降下と直流電流の積に対して、ダイオードが導通している期間の割合(デューティ比)を乗じることで算出され、本問の条件ではとなります。
ダイオードの損失と通電期間
パワー半導体デバイスであるダイオードは、電流が流れる際に電圧降下(順電圧降下)が発生します。電力損失は、流れる電流と電圧降下の積()として定義されます。
本問のような三相整流回路では、各ダイオードは1サイクルの中で順番に通電します。問題文にある「通電する期間が1サイクルの1/3である」という条件は、このダイオードがオンしている期間の平均的な負荷率を示しています。損失の平均値を求める際は、電流が流れている瞬間の電力に、そのデバイスが動作している時間の割合を掛けることで、1周期あたりの平均的な消費電力を導き出すことができます。
損失計算の手順
ダイオードが導通している間の損失を特定します。このとき、順電圧降下と、平滑リアクトルにより一定に保たれている直流電流を掛け合わせます。
1サイクル全体に対する通電期間の割合を考慮します。各ダイオードは1サイクルのうち1/3の期間だけ通電するため、損失の平均値は、先ほど求めた導通時の損失にこの期間の比率を乗じます。
この計算により、ダイオードで発生する平均的な損失は12[W]であることがわかります。
整流回路の図に描かれた各ダイオードの配置と、電流が流れる経路の周期性を重ねてみると、各素子が担う通電期間の役割が見えてきます。