令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問20 解説 問2 問2
問2 汽力発電設備において, タービン出力が 175 MW, 蒸気タービンの効率が 92 %で, タービン入口における蒸気のエンタルピーが 32 500 kJ/kg, 復水器入口における蒸気のエンタルピーが 30 800 kJ/kg であるとき, このタービンの使用蒸気量の値[t/h]として, 最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 86
- 112
- 248
- 341
- 403 ✓ 正答
解説
蒸気タービンの出力、効率、および入口と出口のエンタルピー差から計算される蒸気流量が約 403 t/h となることで、選択肢(5)が導かれます。
蒸気タービンのエネルギー変換と効率
汽力発電所において、蒸気タービンは蒸気が持つ熱エネルギーを回転運動の機械的エネルギーへと変換する設備です。このとき、蒸気がタービンを通過する際のエネルギーの変化量は、タービン入口と出口(復水器入口)のエンタルピーの差によって表されます。
エンタルピーとは、物質が持つ全エネルギーの一種であり、ここでは単位質量あたり[kJ/kg]で扱います。蒸気がタービンで仕事をすることで、入口のエンタルピー から出口のエンタルピー へと減少します。理想的な状態であればこの差分がすべて仕事になりますが、実際には摩擦や漏れなどの損失があるため、タービンの効率 を考慮する必要があります。
タービン出力 [kW]、使用蒸気量 [kg/s]、エンタルピー差 [kJ/kg]、効率 の関係は、以下の式で示されます。
ここで、使用蒸気量の単位が [t/h] で求められていることに注意が必要です。1時間(3600秒)あたりの質量流量に変換するため、単位を調整しながら計算を進めます。
蒸気流量の算出
タービンで回収される単位質量あたりのエネルギー量(エンタルピー差)を求めます。 [kJ/kg]
タービン出力 をキロワット[kW]、つまり [kJ/s] に揃えます。 [MW] [kW] [kJ/s]
1秒あたりの質量流量 [kg/s] を算出します。
1時間あたりの質量流量 [kg/h] に換算します。1時間は3600秒であるため、秒あたりの流量に3600を掛けます。 [kg/h]
単位を [t/h] に変換します。 [t] は [kg] であるため、約 403 [t/h] となります。
タービン入口と復水器入口のエンタルピーの差を、タービン全体の効率と重ねてみると、蒸気が仕事をしてエネルギーを放出した過程が見えてきます。