令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問20 解説 問2 問2
問2 真空中にQ[C]の電荷をもつ半径r[m]の球状導体がある。ここで、真空の空間を比誘電率2の絶縁体の液体で満たしたとすると、静電気に関する記述として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、無限遠点の電位を零電位とする。
- 球状導体表面の電位は、液体を満たす前の2倍になった。
- 球状導体表面の電界の強さは、液体を満たす前の2倍になった。
- 球状導体表面の電束密度は、液体を満たす前の2倍になった。
- 球状導体から出る電気力線の本数は、液体を満たす前の2倍になった。
- 球状導体の静電容量は、液体を満たす前の2倍になった。 ✓ 正答
解説
球状導体周囲の空間を比誘電率2の絶縁体で満たすと、真空時の静電容量に比べて2倍になるため、球状導体の静電容量は液体を満たす前の2倍になります。
静電容量と誘電率の関係
静電容量は、導体にどれだけの電荷を蓄えられるかを示す指標です。半径 [m] の孤立した球状導体の静電容量 [F] は、以下の式で表されます。
ここで、 [F/m] は周囲の媒質の誘電率です。誘電率は、真空の誘電率を [F/m]、媒質の比誘電率を とすると、 という関係があります。この式から、周囲の媒質の比誘電率 が大きくなるほど、静電容量 も比例して大きくなることがわかります。
液体充填による各物理量の変化
球状導体の電荷 [C] が一定であると仮定して、周囲を比誘電率 の絶縁体で満たした場合の変化を追います。
静電容量の特定 周囲を比誘電率 の液体で満たすと、誘電率は真空時の2倍()になります。静電容量の式 に当てはめると、新しい静電容量 は となり、真空時の2倍になることがわかります。
電位の変化を確認 導体の電位 [V] は、 という関係にあります。電荷 は一定のまま、静電容量 が2倍になるため、電位 は元の 倍になります。これにより「電位が2倍になる」という選択肢は誤りであると判断できます。
電界の強さと電束密度の検討 導体表面の電界の強さ [V/m] は、 で表されます。電位 が 倍になるため、電界 も 倍になります。一方、電束密度 [C/m^2] は で定義されます。誘電率 が2倍になり、電界 が 倍になるため、両者を掛けると となり、電束密度は不変であることがわかります。
電気力線の本数の整理 ガウスの法則により、導体から出る電気力線の総本数は電荷 に依存します。電気力線の本数 は の関係にあるため、誘電率 が2倍になると、本数は 倍になります。
周囲を満たす絶縁体の比誘電率の値と、静電容量の式の形を重ねてみると、空間の性質が電荷の蓄え方に与える影響が見えてきます。