令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問112 解説 問11(b) 問11
問11(b) 定格容量500kVA、無負荷損500W、負荷損(定格電流通電時)6700Wの変圧器を更新する。更新後の変圧器はトップランナー制度に適合した変圧器で、変圧器の容量、電圧及び周波数仕様は従来器と同じであるが、無負荷損は150W、省エネ基準達成率は140%である。このとき、次の(a)及び(b)の問いに答えよ。ただし、省エネ基準達成率は次式で与えられるものとする。省エネ基準達成率(%)=基準エネルギー消費効率/(Wi+WC40)×100ここで、基準エネルギー消費効率は1080Wとし、Wiは無負荷損[W]、WC40は負荷率40%時の負荷損[W]とする。変圧器の出力電圧が定格状態で、300kW遅れ力率0.8の負荷が接続されているときの更新前後の変圧器の損失を考えてみる。この状態での更新前の変圧器の全損失をW1、更新後の変圧器の全損失をW2とすると、W2のW1に対する比率[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、電圧変動による無負荷損への影響は無視できるものとする。
- 46
- 55 ✓ 正答
- 66
- 79
- 86
解説
更新前の全損失が約4269W、更新後の全損失が約2333Wとなり、その比率を計算することで、更新後の損失が更新前の約55%になることがわかります。
変圧器の損失と負荷率の関係
変圧器で発生する損失は、大きく分けて「無負荷損」と「負荷損」の2種類があります。
無負荷損(鉄損)は、変圧器の一次側に電圧を印加している限り、負荷の大きさに関係なく常に一定の値となります。一方、負荷損(銅損)は、コイルに流れる電流の2乗に比例して増加する性質があります。したがって、ある負荷状態における変圧器の全損失 は、以下の式で表されます。
ここで、 は無負荷損、 は定格電流を流した時の負荷損、 は定格容量に対する実際の負荷の割合(負荷率)です。この式が示す通り、負荷損は負荷率の2乗に比例するため、負荷率が変化すると全損失も大きく変動します。
全損失の算出と比率の比較
以下の手順で、更新前後の全損失を求め、その比率を確認します。
負荷率を特定する 変圧器の定格容量は500kVA、負荷は300kWで力率が0.8です。このときの皮相電力は [kVA] となります。負荷率 は となります。
更新前の全損失 を算出する 更新前の無負荷損は500W、定格負荷損は6700Wです。上記の式に代入すると、全損失 は以下のようになります。 [W]
更新後の全損失 を算出する 更新後の無負荷損は150Wです。負荷損については、前問の結果より定格負荷損 が3880Wであることが求められているため、全損失 は以下のようになります。 [W]
損失の比率を確認する 求められた を で除して比率を算出します。 比率 これをパーセント表記にすると約54.6%となり、選択肢の中では55%が該当します。
定格容量に対する負荷の割合と、更新前後それぞれの損失特性を重ねてみると、変圧器の省エネ性能の差が具体的な数値として見えてきます。