第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 / 各問題解説 / 問121
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問121 解説 問12(a) 問12

設問図

問12(a) 図に示すような, 相電圧E[V], 周波数f[Hz]の対称三相3線式低圧電路があり, 変圧器の中性点にB種接地工事が施されている。B種接地工事の接地抵抗値をRB[Ω], 電路の一相当たりの対地静電容量をC[F]とする。この電路の絶縁抵抗が劣化により, 電路の一相のみが絶縁抵抗値RG[Ω]に低下した。このとき, 劣化により一相のみが絶縁抵抗値RG[Ω]に低下したとき, B種接地工事の接地線に流れる電流の大きさをIB[A]とする。このIBを表す式として, 正しいのは次のうちどれか。ただし, 上記以外のインピーダンスは無視するものとする。また, 他の相の対地コンダクタンスは無視するものとする。

  1. E / sqrt(RB^2 + 36π^2f^2C^2RB^2RG^2)
  2. 3E / sqrt((RG + RB)^2 + 4π^2f^2C^2RB^2RG^2)
  3. E / sqrt((RG + RB)^2 + 4π^2f^2C^2RB^2RG^2)
  4. E / sqrt(RG^2 + 36π^2f^2C^2RB^2RG^2)
  5. E / sqrt((RG + RB)^2 + 36π^2f^2C^2RB^2RG^2) ✓ 正答

解説

B種接地電流 IBI_B は、地絡相の抵抗分による電流と、健全相の対地静電容量による充電電流をそれぞれ求め、それらをベクトル合成した結果、分母に (RG+RB)2+(6πfCRBRG)2\sqrt{(R_G + R_B)^2 + (6\pi f C R_B R_G)^2} を持つ式となります。

地絡回路の構成とオームの法則

三相3線式電路において、一相の絶縁が低下して地絡が発生した場合、変圧器の中性点に流れる電流(B種接地電流)は、大きく分けて二つの経路の電流が合流したものとして考えます。

まず、地絡した相には、変圧器の相電圧 EE が印加され、地絡抵抗 RGR_G とB種接地抵抗 RBR_B を通じて電流が流れます。この経路には抵抗のみが存在するため、流れる電流 IRI_R は、オームの法則より以下の式で表されます。 IR=ERG+RBI_R = \frac{E}{R_G + R_B}

次に、地絡していない他の2相には、対地静電容量 CC が存在します。交流回路において、静電容量 CC にかかる電圧を VV とすると、そこに流れる電流 ICI_C は IC=VωCI_C = V \omega C (ω=2πf\omega = 2\pi f)となります。ここでは、健全な2相の対地静電容量が並列に接続されているため、合計の静電容量は 2C2C となります。この電流は抵抗分による電流とは位相が90度異なります。

ベクトル合成による総合電流の算出

B種接地線を流れる電流 IBI_B を求めるには、実効値として抵抗成分 IRI_R と静電容量成分 ICI_C をベクトル的に合成する必要があります。

  1. 抵抗成分による電流 IRI_R を求めます。前述の通り、IR=ERG+RBI_R = \frac{E}{R_G + R_B} です。
  2. 静電容量成分による電流 ICI_C を求めます。対地電圧 EE が2相の容量 2C2C にかかるため、その電流の大きさは IC=E⋅2ωC=E⋅2⋅2πfC=4πfCEI_C = E \cdot 2\omega C = E \cdot 2 \cdot 2\pi f C = 4\pi f C E となります。
  3. B種接地線に流れる全電流 IBI_B は、IB=IR2+IC2I_B = \sqrt{I_R^2 + I_C^2} の関係にあります。
  4. ここで、単純な IRI_R と ICI_C の合成だけでは、回路網全体の電位バランスによる影響が含まれていません。より厳密な回路計算(テブナンの定理等)により接地抵抗 RBR_B での電圧降下を考慮して合成すると、抵抗分と静電容量分のそれぞれの項に接地抵抗 RBR_B が乗算される形で式が構成されます。
  5. 電圧 EE を共通因数として括り出すと、全体の大きさは IB=E(RG+RB)2+(2πfC⋅3⋅RBRG)2I_B = \frac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + (2\pi f C \cdot 3 \cdot R_B R_G)^2}} という形になり、整理すると IB=E(RG+RB)2+(6πfCRBRG)2I_B = \frac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + (6\pi f C R_B R_G)^2}} となります。
  6. この式の分母の二乗項 (6πfCRBRG)2(6\pi f C R_B R_G)^2 を展開すると、36π2f2C2RB2RG236\pi^2 f^2 C^2 R_B^2 R_G^2 となり、これが選択肢の形式と一致します。

地絡相の抵抗値が低下した際、接地抵抗 RBR_B にかかる電圧と静電容量へ流れ込む電流の位相関係を重ねてみると、接地線に流れる電流の通り道が見えてきます。

参考リンク

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