令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問122 解説 問12(b) 問12
問12(b) 図に示すような, 相電圧E[V], 周波数f[Hz]の対称三相3線式低圧電路があり, 変圧器の中性点にB種接地工事が施されている。B種接地工事の接地抵抗値をRB[Ω], 電路の一相当たりの対地静電容量をC[F]とする。この電路の絶縁抵抗が劣化により, 電路の一相のみが絶縁抵抗値RG[Ω]に低下した。相電圧Eを100V, 周波数fを50Hz, 対地静電容量Cを0.1μF, 絶縁抵抗値RGを100Ω, 接地抵抗値RBを15Ωとするとき, 上記(a)のIBの値[A]として, 最も近いのは次のうちどれか。
- 0.87 ✓ 正答
- 0.99
- 1.74
- 2.61
- 6.67
解説
B種接地電流 が となるのは、一相が絶縁低下を起こした際の回路全体における合成インピーダンスを考慮し、オームの法則を用いて相電圧 をそのインピーダンスで除することで導かれます。
回路構成と電流の経路
この問題の回路は、変圧器の中性点から接地抵抗 を通じて大地に至る経路と、電路から絶縁不良箇所および対地静電容量を経て大地に至る経路で構成される閉回路と見なせます。
ここで重要なのが、キルヒホッフの法則です。回路内の各点において流入する電流と流出する電流の総和はゼロになります。今回のケースでは、絶縁が劣化した一相から大地へ向かう電流と、健全部の対地静電容量から大地へ向かう電流が、それぞれB種接地線に流れ込みます。これらの電流は位相が異なるため、単純な加算ではなくベクトル和として取り扱う必要があります。
B種接地電流の算出
絶縁低下が発生した回路において、接地線を流れる電流 を求めるために、以下のステップで値を決定します。
- 回路定数の整理と計算 与えられた値を用いて、各成分を計算します。 相電圧 絶縁抵抗 接地抵抗 対地静電容量 周波数
まず、角周波数 を求めます。 次に、対地静電容量のリアクタンス成分に関連する値として、問題で提示された式に含まれる項を計算します。 式(3)が正当な理論式であり、これに代入すると、分母は のような形に帰着します。ここでは、並列回路の合成アドミタンスの考え方を用いて、等価的なインピーダンスを算出します。
合成インピーダンスの決定 劣化相の回路には と が直列に接続され、これら全体に対して静電容量成分が並列に寄与する構成となります。 全電流 は、回路全体の電圧 を合成インピーダンス で割ることで求められます。 与えられた式(3)の根号内を展開・代入すると、 この計算を進めると、分母の項 は非常に大きな値となり、結果として が導かれます。
数値の確定 各パラメータを式に当てはめると、抵抗による電流成分と静電容量による充放電電流成分の合成により、接地線を通る電流の値が確定します。
絶縁不良を起こした箇所の抵抗値と、電路全体に分布する静電容量の広がりを重ねてみると、接地線に集まる電流の経路が見えてきます。