令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問131 解説 問13(a) 問13
問13(a) 高圧進相コンデンサの劣化診断について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。三相3線式50Hz, 使用電圧6.6kVの高圧電路に接続された定格電圧6.6kV, 定格容量50kvar(Y結線, 一相2素子)の高圧進相コンデンサがある。その内部素子の劣化度合い点検のため, 運転電流を高圧クランプメータで定期的に測定していた。ある日の測定において, 測定電流[A]の定格電流[A]に対する比は, 図1のとおりであった。測定電流[A]に最も近い数値の組合せとして, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, 直列リアクトルはないものとして計算せよ。
- 6.6, 5.0, 5.0 ✓ 正答
- 7.5, 5.7, 5.7
- 3.8, 2.9, 2.9
- 11.3, 8.6, 8.6
- 7.2, 5.5, 5.5
解説
高圧進相コンデンサの定格電流と、図1に示された比率を掛け合わせることで、R相の測定電流は約6.6A、S相およびT相の測定電流は約5.0Aと算出されます。
進相コンデンサの定格電流とオームの法則
三相交流回路において、Y結線された進相コンデンサの定格電流 は、定格容量を [var]、線間電圧を [V] とすると、以下の式で求められます。
この式は、三相回路の電力公式 を変形したものです。進相コンデンサは交流電路において、電圧に対して電流が90度進む性質を持ちます。この回路では直列リアクトルがないため、コンデンサのリアクタンス と回路電圧により電流が決定されます。クランプメータで測定される電流値は、内部の素子が健全であれば定格電流と一致しますが、素子の劣化により内部短絡などが起こると、インピーダンスが変化し、定格時とは異なる電流値が測定されます。
測定電流の算出
図1の比率を用いて、実際の測定電流を以下の手順で求めます。
定格電流の算出 定格容量 [var]、線間電圧 [V] を用いて、定格電流を計算します。
R相の測定電流の算出 図1より、R相の比率は であるため、定格電流に乗じます。
S相・T相の測定電流の算出 図1より、S相とT相の比率はそれぞれ であるため、同様に定格電流に乗じます。
これらの結果から、最も近い数値の組み合わせは 6.6, 5.0, 5.0 となります。
回路の定格値から算出された基準の電流値と、クランプメータが示す比率の積に注目してみると、各相の素子の状態に応じた電流の変化が見えてきます。